2017年3月25日土曜日

信頼性係数をエクセルで算出する

信頼性係数をエクセルで算出しようという記事です.

ちょっと前の記事の「効果量」もそうですが,この「エクセル関数で採用されていない統計手法を無理やり算出してみよう」系統の記事は,現在ネタ切れ感があります.
既にどっかのサイトで扱ってるだろ,というところもありますし,あまり簡単なことは避けてきました.
でも,基本的なところから取り上げることも有益かと思います.気にせず「エクセルでこんな計算をしてみた」を続けることにします.

学生にとっては統計学の授業の課題対策にしてもらえればいいし,SPSSが買えない貧乏研究者や,小難しい報告書作りに取り組まなければならない統計処理初心者のためにはなるのかもしれません.

さて今回の「信頼性係数」ですが,一口に信頼性係数と言ってもたくさんあるようです.
算出が容易なものから順番に扱っていきます.

(1)ピアソンの積率相関係数(Pearson's r)
超基本的な信頼性の指標です.
例えばこんなデータがあったとします.
仮にこれを「7つの質問で構成されたアンケートorテスト問題」で,その回答結果だと考えてください.
これを同じ人に2回やらせてみて,その回答パターンが一緒になるかどうか調べたいというものです.


ピアソンの積率相関係数の算出は非常に簡単です.
エクセルに標準装備されている,PEARSON関数を使えば一発で算出できます.

こうやって,
こうなります.

これは「r値」と呼ばれる相関の強さを示すものです.
研究者によってまちまちですが,rが「0.8」以上あれば「両者には強い相関がある」とされます.
詳細は■相関係数(wikipedia)を読んで下さい.
※有意性(p値)をエクセル上で算出したい場合は,過去記事の■エクセルで相関係数のp値を出すをどうぞ.


(2)クロンバックのアルファ係数(Cronbach' alpha)
アンケートや測定方法の信頼性係数として非常に有名です.
計算式などの詳細ですが,日本語版ウィキペディアには載っていません.英語版で見ることができます.
Cronbach's alpha(英語版wikipedia)

例えばこんなデータがあったとします.

つまり,A選手〜G選手までを,測定者A〜測定者Dの4人で計測してみたんだけど,ここで用いられた「測定方法(例えば,技能評価とか質問評価など)」が,異なる測定者が測っても似たような値を出す評価方法なのかどうかを知りたいというものです.

算出の手順はこちらの通りです.

まず,この例データであれば,F列のところに「選手」ごとの合計値を出していきます.
例では,SUM関数を使いました.
こんな感じで,全部出します↓


次に,算出した合計値について,F列9行目のところにVAR関数で分散を出します.


こんな値が出ました↓


次は「測定者」ごとにVAR関数で分散を出します↓

全員分です↓


次に,それぞれの分散を合計したものを算出します.
この例では,以下のようにB列10行目に出しました.

こんな値が出ます↓


以上で,クロンバックのアルファ係数を算出する準備は完了です.
あとは,ウィキペディアにも載っているこの計算式↓

で算出します.


B列12行目にはこんな式を入れています.
=4/(4-1)*(1-(B10/F9))

この中にある「4」という数字は,測定者の数のことです.4人いるので,4を使っています.仮に,6人いれば6になります.

信頼性係数が算出できました.


0.975です.
非常に高い信頼性係数です.まさにExcellent!!です.

英語版ウィキペディアの「Cronbach's alpha」では,信頼性係数についてこのような評価基準が掲載されています.
wikipedia(Cronbach's alpha)より

もう少し詳しい分析については,気が向いたら記事にします.

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点数・得点を段階評価するためのエクセルシートの作成

その他,こういう怪しいブログ記事よりも,ちゃんと勉強になる書籍もご紹介しておきます.
詳しくは,
独学で統計処理作業をスキルアップさせるための本
を御覧ください.

2017年3月24日金曜日

パーソナルカラーみたいなもの

昨日の記事の続きみたいなものとして読んで下さい.
私は子供の頃からずっと,あの山間の集落からこの空を眺めてきました.

そしたら,結構な確率で飛行機が飛んでいるんですね.


青い空に白い飛行機です.

真っ青な空を,ゆっくりじわじわと這うように飛んでいく飛行機.
まさに「スカイ・クロラ(Sky crawler)」ですね.

ずっと憧れていました.
この遙か上空を見上げるしかない飛行機に,いつか乗れたらなぁって.
で,今では乗りたくもないのに,しょっちゅう乗るハメになっています.

幼い私のなかでは,飛行機といえば「青・白」だったようです.
まだ小学校に上る前,保育園の頃だったかと思うんですが,両親曰く,私が執拗にねだったおもちゃがあったそうです.まだ実家にあると思います.
それそのものではありませんが,こういう模型です↓
写真:Amazonより
「ボーイング747(全日空仕様)」
既に退役していますが,「ジャンボジェット」として有名な2階建て旅客機です.
今にして思えば,この青と白のコントラストが,その後の私の嗜好を決定づけています.

同じ頃,周りの子供たちは皆「読売ジャイアンツ」のファンで,帽子も皆あの「オレンジと黒」のものだったんです.
だけど,私だけ「西武ライオンズ」にしていました.
これも両親が不思議がったそうです.どうして高知では野球中継されていないパ・リーグのキャップを欲しがったのか.
写真:ライオンズ公式オンラインショップより
たぶん,色に惹かれたんだと思います.
幼いながらに「この緑の部分はいらんな」と感じていたのを覚えています.

「青」と「白」が私の色でした.

なお,「どうして中日やヤクルト,大洋ホエールズではないのか?」というのは野暮な問いです.わかんないですけど,人と同じものをかぶるのが嫌だったんじゃないでしょうか.

三つ子の魂百までと言いますが,「青」と「白」を優先して選択することは今でも続けています.
気づけば,ブログのテーマ色もそうなってますね.
トラップ式の時限爆弾で,最後に切らなきゃならないコードが「赤」と「青」だった場合は,間違いなく「青」を切るでしょう.

「青」に対するこの意識は,もしかしたらあの納屋の屋根瓦も影響しているのかもしれません.
そこにあることが普通でしたが,よく見れば田んぼの真ん中にぽつんと建っている象徴的な色ですから.


話は戻りますが,そんな経緯があるので,私は国内線ではANAを使うようにしています.できるだけJALは使いません.
会員になっているわけではないのですが,よほどのことがない限り,ANAです.
勝手がわかってくるので,同じ会社を使うのもいいものです.

羽田空港では第2ターミナルに降りるのがルーティーンのようになってしまいました.
なので,たまにJALを使うと間違って第2ターミナルに降りることがあります.
そこから連絡バスに乗らなきゃいけないハメになること数知れず.

そう言えば,教え子がANAの客室乗務員になりました.いつか機内で会うことがあるやもしれません.

身に着けるものも「青」と「白」が多いですね.
ですが,いつの間にか「青」と「黒」になってきました.今の私を知る人はそう思うはずです.でも,これにはわけがあります.

大学生2年の頃,ウインドブレーカーを買い換えようと悩んでいたのですが,たまたま大安売りしていた「ナイキ・ゴルフ」の撥水加工されたシンプルでシックなデザインのものを見つけたんです.
これが本当にシックなデザインでして,上下真っ黒でマットな生地に,当時のナイキには珍しくロゴマークが目立たないようにあしらえてあるんです.ゴルフ用だからかもしれません.
ちょっと予算オーバーだったんですが,そのシンプルで先進的なデザインが気に入って購入.機能性も良かったものですから,常に着ていました.

するとどうでしょう.いつの間にか,
私 = 黒色
というイメージが定着したようなんです.

そうなると「私=黒色」のスパイラルに入ります.
スポーツ系の学生は,ジャージやウインドブレーカーなどを先輩から貰い受けたり,出入りの業者からサンプルとして戴いたりする機会があるんですが,それがことごとく「真っ黒」なものになります.
私としては「白と青がいいのに」と思っても,もう戻れません.

もらったらもらったで,私も貧乏学生ですから「まぁ,これがあるからいいや」と,自分で購入する機会もなくなります.
そしてまた相手が気を利かせてくれて「黒」になる.
未だに,プレゼントとして戴くジャージなどは圧倒的に「黒」です.
結果,身の回りの物はすべて「黒」になりました.

そんなわけですから,以後,「青」「白」「黒」を中心に揃えるようにしています.
でも,「自分の色」を決めておくと,何かと楽ですよ.

例えばスーツは黒のみ.例のハイスペック・ババアが勧めてきた系統を踏襲しています.
基本とするネクタイも青系とグレー系だけです.ワイシャツも白もしくは青系だけにしています.
バッグや小物もこれにならいます.
いろんな色を揃えたほうがいいかな? って思ったこともありますが,そんなこと考えることが面倒になってきたのでやめました.

スポーツウェアにしてもそうです.シューズもジャージも,ソックスも,そしてスキー用具も「青・白・黒」で統一させています.
以前と違い,最近は給料をもらうようになって主体的に購入するものが増えてきましたので,だいぶ統一されてきました.
「青・白・黒」の組み合わせをもって「私」を連想してもらえるので,何かと便利です.

他には,例えば腕時計.私は「カシオ」の時計しか買わないことにしています.
理由は,カシオが地元・高知にゆかりのある会社だから贔屓にしているんです.
使っているのはこちら↓
写真:Amazonより
青と黒,それに白ですね.

フォーマル用はこちらです↓
写真:Amazonより
これも青と黒,それに白銀色ですね.

こんなこと言ってると,「それにこだわっている」と思われるかもしれませんが,そうではありません.
むしろ,こう言えるのではないかと思います.
こだわりとは,こだわらないようにした結果ではないかと.
こだわらないようにした結果,こだわりのある様式が生まれるのではないでしょうか.

2017年3月23日木曜日

実家を撮る

故あって実家(高知)に戻っていました.
普段この時期に実家に戻ることはないのですが,せっかくなのでこの季節の実家を写真に収めておきました.
この歳になると,実家の自然をいろいろ感慨深く見るようになります.
この季節の実家をみたのは,高校生以来ですね.20年ぶりです.

桜の開花がニュースになっていましたね.
最初の開花が東京・靖国神社であることが報じられていましたが,あれはソメイヨシノの「標本木」という桜の木を基準とした開花宣言です.なので実際の桜開花状況とは大きく異なります.
例えば私の実家がある地域の桜は既に開花しており,ソメイヨシノはもう散っています.
家の前にあるそんな桜を動画で撮ってみました.
音声付きで見てもらいますと,ウグイスの元気な鳴き声も聞けます.
これは豆知識ですが,ウグイスって「ホーホケキョ」と鳴きますよね.でも,あの鳴き方には上手い下手があるんですよ.
上手いウグイスは「ほ〜〜〜っホッケッキョ!」と緩急がついたメリハリのある鳴き方をしますが,下手くそなやつは「ホーーーほケッ」とか「ほーーーホヘホヘっ」って鳴きます.
もちろん,下手なウグイスも練習を続けることで上手く鳴けるようになってきます.
父曰く,最近はどのウグイスも上手くなってきた,とのこと.でも3月の始めのうちはどのウグイスも下手くそで聞けたもんじゃなかったそうです.

ちなみに,私の家には「文殊桜(もんじゅざくら)」という桜があります.
これも今きれいに咲いてきました.まだ六分咲きですけどね.

ちなみに,この「文殊桜」ですが,とても珍しい桜なんだそうです.
なので,この季節になると我が家の文殊桜を撮りにカメラマンが来るそうです.父が自慢げに話していました.

以下は今回撮った写真ではありません.正月に撮ったものですが,せっかくなので見てください.いかにも我が家という風景です.

我が家では干し柿を作っています.売ってるものより何倍も美味しいです.


この小鳥↓ なんていう鳥かご存知ですか?
冒頭,ウグイスの話をしましたので「ウグイスだ」と思うかもしれませんが,こやつはウグイスではありません.「メジロ」です.
どうやら世間では,こいつのことをウグイスだと思っている人がかなり多いそうです.たしかにウグイス色をしていますが,ウグイス色というのも間違いです.ウグイスが不憫でなりません.? いや,メジロが不憫なのかもしれません.本当ならメジロ色のはずなので.
うちの庭にはウグイス以外にもメジロがウヨウヨいますが,ホーホケキョとは鳴きません.え?鳴き声ですか? 小鳥らしく「チュンチュン」と張りのある明瞭な声で鳴きます.


こいつは「ジョウビタキ」↓
一番庭に近寄ってくるくせに,ちょっとでも近づくとすぐ逃げる奴です.ピンポンダッシュの心境なのかもしれません.


なにげに「冬の景色」と似合う鳥です.






我ながらきれいに撮れているなぁと思う写真ですが,これはニコンV3と望遠レンズのおかけです.

  

ちなみに,私がNikon 1でよく使うレンズはこちら↓

とにかく「便利」です.
コンパクトなので持ち運びが楽ですし,それでいてズームも聞くわりに非常にきれいに撮れます.Nikon 1シリーズのレンズとしては傑作だと思っています.

そう言えば,冒頭のビデオでもウグイスの声が聞こえていますし,上の写真でも小鳥を撮っているのですが.我が家の周辺は年がら年中「鳥」が多いんです.
どうやら我が家の山に木の実が多いから,そして温暖な土地だというのがその理由のようです.
これがその山↓
昼はこんな感じ.


夜はこんな感じ.


以下は,私の人生の原風景です.こうしてみると,夕暮れ時が原風景なんですね.
この山と夕日を見ると落ち着きます.


私だけが分かる木です.


山に立つ鉄塔と,手前にある柿の木というアングルは30年前から変わりません.


空を眺めますと,飛行機が飛んでいます.
小さい頃は,憧れの目で見上げていました.いつか飛行機に乗ってみたいなぁ〜って山間の集落から見上げていたのですけど,今では月2回は乗るような生活になってしまいました.


この飛行機にはいろいろ思い出がありますし,今の私の嗜好を形成している部分もあったりします.
これについては後ほど記事にします.

2017年3月19日日曜日

危ない小規模大学こそ取り組んだ方がいい「授業」

相変わらず酷い教育戦略を展開している大学ってあるもので.
そんな大学にお勤めの先生と,先程まで電話で愚痴話をしておりました.

少なくない「危ない大学」は,高校生ウケする学生募集と,学生ウケする授業科目を重視しようとするんですね.
それでいて,とても「本気」出してるようには思えない,中途半端で,ごっこ遊びのような経営戦略会議やプロジェクトチーム・ミーティングの連続.
「もはやこれまで」
と言いたくなるような現実がそこにはあります.
詳細は過去記事,■こんな大学は万事休すだ他をご覧ください.

必竟,「我々はなんのために大学で教育をしているのか?」という点が,あまりにも,尚あまりにも,あ・ま・り・に・も希薄な運営幹部が牛耳ってしまうと,彼らはどうしても「ウケ」を狙っているとしか思えないような方針を打ち出します.
いえ,それが笑える「ウケ」だったらまだいい.完全にダダ滑りなのだから目も当てられません.

そして「ウケ狙い」をこじらせた大学は,「就活やキャリア教育のための時間を割きたいから,卒業論文を撤廃しよう.いや,いきなりそれだと反発する先生がいるから,ひとまず学生にかかるストレスを減らすってことで,きちんとフォーマットを守っているかとか,発表会とか,副査制とかってのをやめよう」って言い出します.

今回は危ない大学,なかでも小規模大学にこそ取り組んでいただきたいことを提案します.私にしては珍しく,ちょっと前向きな記事です.
もうどうにもならない状態まで堕ちた大学教育界ですが,もしかすると復活の鍵は小規模・低偏差値大学の舵取りにあるのかもしれません.


(1)全ての学生に卒業論文をきちんと書かせる
いきなり当たり前のことだと思われるでしょうが,ポイントは「全ての学生に」という点です.
もしかするとご存知無い方もいらっしゃるでしょうが,難関大学でも,卒業論文は全員必修ではないところが多いものです.選択科目ということですね.
これ,意外と驚く人が多いです.
「あの “卒業論文” を書かずに卒業してる大学生がいるの?」って思われる人もいるかもしれませんが,これは本当です.まあ,大学のことって自分のところしか知らない人が多いですからね.

難関大学に入学できたような学生であれば,たとえ卒業論文を書かずに卒業しても,地頭がいいから社会人になってから自分で勉強できます.
ところがこれを,「あの◯大学も卒論は選択制なんだから,うちも選択制にしましょうよ」などと低偏差値大学がやってはいけません.

大学とは,物事を筋道立てて論じられる人物を育てるところです.そのために,卒業論文は極めて重大な存在です.卒業論文の作成がなければ,大学に来た意味は無いと言って良い.
全ての学生に等しくストレスをかけましょう.
(今の御時世,平等を謳えば,ちょっとはマシになるはずです)
まともに論文を書けるようになった学生は,書けない人より物事をまともに考えられるようになります.大学教育の意義です.

どうしてこんなことを話題にするのか,それ自体が理解できない.という人もいましょう.
実は,大学教員のなかには卒業論文を指導できない教員がいます.かなりいます.
そもそも自分が論文が書けないし,論文も読めない人がいるんです.そしてこういう教員は,いろいろ理由を捏ねくり回し,学生には「卒論はこんな感じでいい」ということで逃げ回ります.
一番酷いのは,指導もせず学生にやらせておいて,そのくせ「ここが出来ていないぞ」と怒る,ならまだいいんです.どんな文章を書いていようと「受理」してしまう教員もいることです.

大学としても,そんな教員を叱咤激励することはしません.
もっと言えば,そんな大学だと「卒業論文どころではない」という考え方が幅を利かせています.
でも,ここが踏ん張りどころです.踏ん張って学生を育てれば,あの大学は偏差値低いはずなのに賢い卒業生が多いなぁ,という噂が立つようになります.

方法はいろいろありますが,徹底しきれなくとも全学生に同じような学習をさせることが重要です.
一番の問題点は,手を抜く教員や指導できない教員のプライドを傷つけないことにあります.下手をすると,当該教員がグレてイジケて極めて面倒くさい状態になります.

卒業論文指導ができる人を集めてユニットを作り,そこで横のつながりを持ちながら指導していく方法が良いのかもしれません.よく,3年4年の時の「ゼミ」「演習」と呼ばれる科目の指導教員が卒論指導する場合が多いのですが.卒論指導とゼミを切り離す方法も考えられます.
なお,ポイントは「卒業必修単位」にすることと,その単位認定には「複数教員の合意」が必要とすることです.学生に本気出させるにはそれくらいがちょうどです.
「そんなことしたって,骨折り損のくたびれ儲けになりはしないか」という声も聞こえてきそうですが,今,全国の学長にはそんなサラリーマン教員を一蹴できるかどうかが問われています.


以下,正統派ではない方法によるものを提案します.

(2)現在の多くの大学が取り組んでいない「身体的技能」をガチで身に着けさせる
以前私が勤めていた大学でこんなことがありました.上司から「本学のオリジナリティを高めるために,何かいいアイデアはないか」と言われたんです.この上司が期待していたのはウケ狙いのものだったんですけどね.しかも横着にも「できれば我々が活きる体育系のもので」とのことでした.
それに対し私は「では,生花とか茶道とか,あと日本舞踊とかを本気でやらせてはどうでしょうか.卒業必修単位にして,きちんと習得できなかったら卒業できないようにするんです.グローバル教育にも一役買うと思います」と言ったんです.なお,これはウケ狙いではありません.
ものすごく嫌な顔をされました.

本当なら卒業論文をガチでやって,学術的思考力を鍛えたほうがいいに決まっています.でも,私はこの時「体育教師」という立場からしても,学生に “身に付ける” ことを重視するという意味において,上記のことを提案したつもりです.

この上司としては,もっと学生が履修希望したがるようなプログラムを私に考えさせたかったんです.なんのことはない.「履修希望者が増える」という状況ができれば,体育科が学内で一目置かれるようになるっていう目論見です.下衆ですね.
でも,そんな学生ウケする授業科目をつくったところでバカバカしい.

「◯大学の卒業生は,皆必ずお茶が点てられる」とか,「◯大学の学生は,全員が必修の書道で鍛えられているから字が綺麗」というのは,大学としてのオリジナリティだと思いませんか? 思いますよね?
はい,チャラいことは百も承知の上です.それでも,オリジナリティを本気で出したいというのであれば,こういうのが教育的にも大事だと思うんです.

もちろん,ここで出しているのはパッと思いついたものです.もっと熟慮すれば,良いアイデアが出て来るでしょう.
これが10年,20年続けば,その大学の伝統や特色,アイデンティティになっていきます.

ポイントは,「体験する」とか「知っている」といった学習ではなく,ガチでやって「出来るようにさせる」「身に付けさせる」という状態にまでもっていくことです.そうでなければ意味がありません.そのためにも,私は体育的な発想が必要だと考えています.

例えば,自転車がこげるか否かは,明瞭に分かります.それに,自転車を一度こげるようになった人は,それからもずっと自転車をこぎ続けられます.自転車をこげるというアドバンテージや,そこから見える可能性は極めて広大です.これが体育的発想です.

私達が通っていた大学では,好むと好まざるとに関わらず,体操の鉄棒やマット運動,4泳法,陸上7種一定記録以上,柔道初段獲得,エアロビクスダンス等々,それが出来なければ卒業できませんでしたから,それができるようになりました.
こうした技能の獲得は,スポーツ活動以外には意味のないものでしょうか?
いえ,それらが「私の体を通して出来る」という身体的認識は,知的・精神的活動にも影響します.詳細は■井戸端スポーツ会議 part 11「人間は『身体』を通して理解する」あたりを参照してください.
そしてこれは,生花や茶道,日本舞踊も同じことです.

なんでもいいんですよ.ダンスでもカラオケでも和太鼓でも座禅でも.その大学ならではのものがあれば,尚良いでしょう.もっと言えば,伝統的に「そういうもの」がある大学は,もともと強い大学,盤石な大学ではないですか.
ここには相関があると思うんです.


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