2015年1月16日金曜日

危ない大学に奉職してしまったとき「本気の高校訪問対策」

以前の記事
危ない大学に奉職してしまったとき「高校訪問対策」
では,多くの大学ではそもそも高校訪問に行く価値なんかないんだから,という観点から,
1)どうやってサボるか
2)どうやって楽しむか
というところをご紹介しました.

ですが昨今の日本を見ておりますと,景気回復の見込みは無いなかで例の2018年を迎えることになりそうですので,本気の高校訪問対策が必要な大学が増えそうな予感です.

今回は,そんな背に腹は代えられない経営難になった大学に奉職している教職員に向けた記事です.
生き残りをかけた学生募集のためには,多くの大学が取り組んでいる甘っちょろい高校訪問ではなく,ガチの高校訪問が必要になってきますので,いよいよ「本気の高校訪問」をしなきゃいけなくなった大学は参考にしてください.
知ったかぶった人が示すような方法ではなく,ちゃんと学生募集の効果が確認された高校訪問とそのコツをご紹介したいと思います.

◎コンセプト
「他の大学よりこんなところが優れていますよアピール」は,ガチの高校訪問が必要な大学にとっては無意味です.
残念ながら,あなたの大学が他の大学より劣っていることは周知されておりますので.
ですから,
1)進学希望はあるが学力に難がある生徒をピンポイント攻撃
2)手取り足取り指導を徹底していることを印象づける
3)学術性ではなく,社会的な評価を受ける学生が多いことを印象づける
4)「生徒を送ってやるんだから,責任持って結果を出せよ」に応える信頼関係づくり
といったことを,いかに実現できるかが重要になってきます.
ようするに,学力が低くて進路指導で手の焼ける生徒を普通の大学に通わせてもダメなことは,高校の先生が一番良く知っていますから,そこを上手に突くことによって,持ちつ持たれつの関係を築く作業が高校訪問の本質と言っていいでしょう.


◎準備編
まずは高校訪問に向かうにあたっての事前準備です.
実のところ,ここで全てが決まると言っても過言ではありません.
常識中の常識も挙げていますが,再確認するつもりで読んでください.

(1)高校の偏差値を確認する
進学校に高校訪問したって意味はありません.高校訪問しなきゃ潰れるような大学に,進学校から生徒が来るわけないので.
できるだけ偏差値が低く,且つ,大学進学希望者がゼロではないような高校を調査しておきます.
現在入学してきている学生の偏差値からターゲット校は絞れます.って言っても,出来るだけ多くの高校に行きたいので,少し高めに見積もることになるでしょう.

(2)高校のテスト期間中は避ける
当たり前ですが,テスト期間に高校訪問してもウザがられます.対応されないことも多いです.この期間は避けましょう
逆に言うと,高校訪問を適当にやりたい人にとっては,こういう期間を狙えば「この時期にしか行けなかったから仕方ないけど,訪問したけどどこも忙しそうでした.この時期は避けた方がいいんですねぇ.ハハハ(笑)」と言い訳できるのですが.

(3)前回の記録を確認しておく
あとでもその記録方法を紹介しますが,前回その高校に訪問した人が記録した情報を確認しておきましょう.
例えば,学力は低いけどスポーツ,音楽,美術などに精を出している生徒がいる.そうした部活の顧問の先生の名前.その先生はどこに待機していることが多いか.なんてことが分かれば,ピンポイント攻撃ができます.って言うか,そこを攻めて学生を確保するんです.
他にも,前年に手応えがあった先生から生徒を送ってくれているようであれば,そこも攻めどころです.こういう先生は生徒たちに「あの大学に行けばいいぞぉ.合格しやすいからなぁ」って触れ回ってくれている可能性が高いですから,より強い信頼関係(白目)を築くのに適しています.
つまり,過去の本学への入学実績や部活への取り組み,どこのクラブが強いとか部員数が多いとか,前年の訪問時では2年生にどのような進路希望が多かったか,などの事前調査記録を確認しておくのです.それに合わせた行動をとることになります.
なので,この事前調査が重要になってきます.「訪問編」で詳細を述べます.

(4)戦略的なお土産を用意
高校訪問をしているような大学のDVDやパンフレットは,手に取って見てもらえる可能性はゼロです.
見てもらえない,目に触れないお土産を渡したって予算の無駄ですので,とにかく大学名と大学の強みが人目につく工夫が施されたお土産を作成することに邁進しましょう.
典型的なのは,大学名が派手にデザインにしたクリアファイルやメモ帳,ファイルケースなどでしょうか.奇抜なアイデア勝負になりますが,つまりここで言いたいのはパンフレットや大学案内で勝負してはいけないということです.

(5)訪問時の台本を兼ねる,A4・1枚ものの大学アピール資料を作成
訪問して営業トークをすることになるのですが,その時に大学案内やパンフレットを開きながらは面倒です.なので,トークの内容,つまりアピールポイントをA4・1枚にまとめておきましょう.そして,それをそのまま応接した先生に渡してしまえる資料にしておきます.
「A4・1枚にまとめる」っていうのは昨今の流行りですので,流行を気にする頭の弱い先生ならノッてくれる可能性があります.


◎訪問編
高校訪問にあたってアポを取る必要はありません.アポ取ったところで「丁寧な大学だなぁ」とは思われても,学生募集にはつながりません.逆の立場になって考えれば分かることです.
目標となる高校を定めたら,しらみ潰しに回ることになりますので.無駄な労力になります.
訪問販売がアポ取って営業しようが,賢い客は買いませんよね.それと一緒です.
釣れる高校を探すには事前調査が最重要ですが,やっぱり数もこなすことになります.訪問する目標数としては,1日15校でしょうか.それが可能なようにルートを計画します.
全体として,営業トークは以下のことを心がけます.
1)具体的に事例を挙げながら話す
2)比較評価できる数字はなるべく出さない(高校訪問が必要な大学に数字で誇れるものは無い)
3)その代わりに「量よりも質」を印象づける
4)ミクロな話でマクロを語る
これを基に,いろいろな話題を準備しましょう.

(1)進路指導の先生との対決
一般的な高校訪問では,進路指導室に通されて,その進路指導の先生に向けてトークを展開することになります.
ですが,進路指導の先生に高校訪問が必要なほどの大学が営業トークをしても無駄です.
熱心な相槌,冷めた相槌,朗らかな相槌,いろいろありますが,いずれにせよあなたの大学は「早く帰れ」と思われていることに変わりはありません.
ですから,こうした先生からは,
1)どのような大学(特に希望学科や希望職)に進学しているか,その数・比率など
2)2年生の動向(次年度につなげるため)
3)その高校に「進学希望はあるが普通の大学には厳しい生徒」が存在するか?
4)そんな生徒の面倒をみていることの多い,部活の顧問の先生は誰か?
という点を聞き出したり探ったりすることになります.

(2)進学希望はあるが普通の大学には厳しい生徒の見つけ方
「普通の大学に行くには厳しくても,本学なら受け入れますよ.誰かいませんか?」なんて直球で話すとドン引きする場合もあります(相手の反応が良かったら上手く転がって大量獲得できることもあるが).なので,言い回しが大事になってきます.
一つのパターンとしては以下の様な感じです.
あなた「生徒さんはどのような大学に行っているのですか?」
高校「◯大とか◯大,最近は◯大なんかに行きますねぇ」
あなた「ほぉー.かなり良いところですねぇ.そうなると,なかなか我々のような大学は先生のところの生徒さんからしたら候補には入らないですかねぇ」
高校「いやいや・・ハハハ(笑)」
あなた「先生のところは,最低でもそういう大学に行くんですね」
高校「うーん・・,いえ,中には難しい子もいますけどね」
あなた「そんな生徒さんはどういう大学に?」
高校「まぁ,本人と相談しながら,滑り止めを考えるんですが」
あなた「例えば本学は先ほど挙がっていた◯大の◯◯過程と同じような資格がとれるようになっていますし,実は内部事情としては希望職への就職率というのは,どの大学もさほど変わらないんですよ.本学は規模が小さい分,◯大よりもキメ細かい指導をしておりますし.大きい大学になりますと放任になりますから.◯大がちょっと難しい生徒さんなんかには,本学を勧めてもらえると喜ばれると思いますが」
・・・という調子で話を広げていきます.
上手くいけば「あっ,そう言えば◯組の子にそんなのがいたなぁ.◯組の先生に紹介してみますよ」って流れになります.

(3)部活の顧問の先生の見つけ方
予め部活動に力を入れている高校はチェックできているかと思いますので,そんな高校には4時〜5時半くらいに訪問しましょう.
「私,本学では◯◯部の顧問をやっておりまして」とか「本学では◯◯部に力を入れておりまして,せっかくなのでその様子をうかがえますか?」などと言って練習風景を見に行くのも有り.かなり強引に思えるくらいで丁度です.
そこで顧問の先生とコンタクトをとるわけです.
もちろん,県大会だとか何かのイベントにも顔を出して,大学を売っておくことは重要です.
部活の顧問の先生の名刺はもらっておきたいところですし,いつもはどこで待機しているのか,嗜好や行動パターンなど,可能な限りの情報を取得し,再度訪問するときのために記録しておくべきです.

(4)進学希望はあるが普通の大学には厳しい生徒の面倒をみていることの多い部活の顧問の先生との対決
前回訪問などで,そんな部活の顧問の先生が対応してくれているようでしたら,「以前,本学は◯◯先生とお話したのですが,今日はいらっしゃいますか?」と指名しましょう.
なんなら,その先生が待機してそうな部屋にダイレクトに乗り込みます(それくらいの図々しさは必要です).
とにかく活発で人当たりが良いところを見せて「信頼関係」を築くように努力することと,生徒の様子を聞き取ることに注力します.
そして,その先生から「レベルの低い大学だけど,あいつの面倒をしっかりみてくれそうだ」と思ってもらえるよう全力を尽くすのです.
部活の顧問の先生は,生徒への影響力が大きいのです.生徒は顧問の先生の勧めを聞いてくれやすいわけです.
あとは(2)のような感じで進めてもらえれば,高頻度で乗ってくれます.

(5)学内の都合やイベントを聞き出せたら,それを後続に伝える
学内で進路指導のイベントがあるとか,別の日時だったら生徒に直接話してもらえるとか,違う時間なら都合がいいという話題になることがあります.それはチャンスですので,自分が行けなくても別の人間が訪問できるかどうか,本部(入試課とか)に連絡を入れて統括してもらいます.

(6)その高校を卒業した学生の話題を提供する
でも「卒業生である◯◯さんは頑張っていらっしゃいますよぉ」なんて薄い話題ではダメです.授業の成績とか友人関係なんてのも無意味.
その代わりに「卒業生である◯◯さんは,1年生ですが将来の就職先が固まってきているようです.それに向けてインターンの準備を前倒しで進めているんですよ」とか,「先日,ボランティア・イベントがあったのですが,◯◯さんは評判が良くて,先方さんから就職の誘いがあったみたいですよ」なんてことを言います.
つまり,高校の先生からしたら「あんなに勉強ができなかった奴が,それなりに社会から評価を受けるような人材になっているんだなぁ.この大学は実践的だなぁ」と思わせる話題を作ることです.
はい.「作る」ことです.真実を語る必要はありません.バレない程度に誇張してください.

(7)生徒を前に話せる機会があったら,胡散臭くともオーバーに話す
最も効果的なのは「資格」です.とにかくいい加減な資格であっても価値が高そうに振れ回ります.
高校の先生からしたら,「おいおい,それってそんな価値無いでしょ」とバレるものもありますが,生徒には案外バレません.
あとはインターンシップ実習の充実度や,優秀な学生の話を可能な限りオーバーに話します.
なお,授業の内容については興味なんてないですから話す必要はありません.話すとしても,授業を受けたことによる「結果」についてオーバーに話してください.

(8)就職率のごまかし方
就職率はどの大学も自分とこが良く見えるように統計マジックを使ってアピールするところです.
あまりにも統計マジックを使うのが普通になり過ぎて,むしろ誰も信用していません.
だからこそ,「すみません,この数字ですが,ハハハ(笑),就職率というのはどの大学も良いように作るものですが,本学も・・,えぇ.ですので,内部事情をお話します」と切り出していきます.
鉄板なのはこういう言い方.
「こうした数字は卒業時点での就職率でして.ですが本学の学生は皆,卒業して後4月や5月には仕事が決まっているんです.しっかりと就職できるように,卒業後もケアしているのが本学です.なかには,就職課が頑張ってくれたお陰で5月に入ってから◯◯に勤めることが決まった子もいますよ.普通の就活よりも条件は良いんで,なんだか皮肉なものですね.ハハハ(笑)」
などとミクロな話を交えてアピールにします.他にもいくつかパターンを用意しておきましょう.


◎移動編
本気の高校訪問をする大学では,移動や宿泊方法も重要になってきます.
予算の都合上,基本的に移動は自動車,宿泊は車中泊です.
「そんなの嫌だ」なんて言ってられる大学は,高校訪問する必要のない大学だとも言えます.

(1)渋滞を起こしやすい道路と回避策は教職員間でシェアする
最近は渋滞回避システムも出てきましたが,そんなものを用意する予算がないのが高校訪問が必要な大学だったりします.
一県下の高校を一人で回ろうというミッションを遂行することになるでしょうから,移動時間の短縮や円滑さは重要です.
でもまぁ,これについてはテクノロジーの発達具合によりますかね.

(2)覆面パトカーを判別できるようになっておく
可能な限り超速で回りたいわけですが,スピード違反で捕まったら時間の大幅なロスになります.免許の点数が引かれることもさることながら,教員評価の点数が引かれることの方が問題ですので,なるべく捕まることは避けたいものです.
ですので,高速道路を徘徊している覆面パトカーを判別できるようになっておきましょう.
2車線での追い抜きをする際は,なるべく追い抜く車両の運転手を確認して警察官かどうかを確認します.
特に注意しておくべきは,軽自動車とトラック以外で,
1)大きめのアンテナが(複数)ついている車両
2)後部席の窓に黒フィルターがついている車両
3)その地域のナンバープレートがついている車両
は警戒を厳にしておきましょう.
怪しいけど運転手を確認できなかった場合は,その車両の前に出てルームミラーで確認します.場合によっては速度を落とし,追い越させると良いでしょう.その時にも確認できます.

(3)警察の動きを把握しておく
ネズミ捕りにかかるのも痛いです.ですから訪問する地域の警察の動きを可能な限り事前に把握しておく必要があります.
これは大学事務員がやってくれると助かるのですが,たいてい訪問担当者が自分でやることになります.

(4)アメニティが充実したサービスエリアやコンビニを把握しておく
車中泊をすることになりますので,次の日の英気を養う上でもどこに駐車するかは重要です.
シャワーが使えたり飲食店などのアメニティが充実したサービスエリアの駐車場で泊まるようにしましょう.片田舎のコンビニだと,駐車場で泊まれるところもあります.トラックのあんちゃんがよく利用するところだったりしますので,情報が回っているようでしたらチェックしときましょう.
寒い時期は安物でいいので寝袋などの睡眠グッズは必須です.翌日の疲れが全然違います.


では,お体に気を付けて,充実した高校訪問に励んでください.


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