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「教職員用」危ない大学とはこういうところだ 其の二

先日,
「教職員用」危ない大学とはこういうところだ
を書いたのですが,その関連記事も含めてアクセスが増えているようでして.
PCで見ている人は,この画面の右端を見ていただけると週間ランキングが出ているかと思いますが,あっという間に本ブログのメイン(?)である統計学のページを抜き去って「危ない大学」シリーズが上位を独占しております(2014年4月15日現在).

というわけでもないのですが,懲りずに第二弾です.

危ない大学にありがちな事を集めてみました.
教職員の皆様だったら「あるある」というネタで楽しんでもらえるかと思います.

 
 

(1)朝礼がある
朝礼をします.そのまんまです.
事務職員の朝礼があるっていうのなら聞くこともありますが,危ない大学では教員も朝礼に出ます.大学教育のことをちゃんと考えていない人なら,
「いいじゃないか,教育熱心なところの現れだ」
なんて言い出すのでしょうけど.残念ながら朝礼のある大学に,まともな大学は少ないです.
なぜ朝礼するのかっていうと,そういう大学は教職員を朝礼によってコントロールしたいと考えているからです.
学校,民間企業,公的機関,みんな朝礼をやっているじゃないか.真剣さが伝わるところほど朝礼をやっている.だからウチでも朝礼しよう.という理由ですが,ようは大学教員をコントロールしたい気持ちの現れです.

そんなわけで,
(2)教員の出勤をタイムカードでとっている
大学で働くということは,とにかく学内でセカセカと働かないといけない,そんなふうに考えているわけです.
通常のアカデミシャンの感覚からすれば,
「そんなんで大学教育が出来るわけないやろ.アホちゃいますの?」
と言いたいでしょうが,残念ながらこの感覚は一般人には通用しません.
そして,一般的な感覚で大学運営がなされている.もとい,一般的な感覚を利用して大学運営をしなければいけないほど堕ちている大学であることを明らかに示しているのです.
私が思うに,これはどうにも埋まらない溝ではないでしょうか.せめて「学校」とか「大学」というものの起源を勉強してもらいたいものですが,残念なことにそれは期待薄です.
遅く出勤して,早く帰る.そんなことで「働いている」とは言わさない.そんなことは許さない.
内部からも,私がこんなに働いているのに,誰々さんは◯◯だ!そんな不満がでないようにしているんですね.
そして,タイムカードを押して朝礼に行くわけですが・・・,その行き先というのがまた問題です.

(3)教員に研究室がなく,職員室で働いている
まぁ,そこで全員で朝礼するわけです.みんな一緒.そういう縛りをつけたいのですね.
「いいじゃないか.タコツボ化した大学教員の風通しを良くする意味でも有効だ」
なんて意見もあるかもしれません.たしかに,大学教育ではなく,学校教育をする上では非常に良いと思います.教員全員が同じ方向を向いて,同じ理念で教育するような組織・機関であれば,その方がいいんです.つまり,学校であれば私もこんなふうにネタになんかしませんよ.
でもね,大学というところでは違います.各教員が独自に研究していることを資源として教育しているんです.
基本スタンスとして,各々の教育理念も違うはずだし,同じ方向を向いていないはず,というのが前提です.それが大学教育の価値ですから.
大学教員は偉いから個人や少人数で研究室を持っているわけじゃありません.個人や研究グループごとの独立性を持ち,そこで教育資源を作り出しているからです.
私が何を言っているのか分からない,納得できないという人は,「大学」について勉強しておいてください.
「そんなもの,一人握りの教員にメリットが有ること,強い大学だけで通用する話だ」
なんてこと言い出すんでしょうが,いやいやちょっと,お気づきですか?そんなこと言ってる時点でもう危ない大学,一般人の思考なんですよ.

(4)なにかとガチの稟議書(許可願)をまわす
一致団結.一人の力が組織に大きく影響する.危ない大学ではそれが実際本当にそうだから,各教員が勝手に動かれたら困るわけです.
ゆえに,学会出張や研究の打ち合わせは勿論,簡単な外出とか学内のヘルプ作業でも細々と稟議書を作成してから行動しなければいけません.コンビニに昼飯を買いに行くのも稟議が必要なのではないかと思うほどです.
これは,一般の大学の「◯◯許可願」などといった,もうそれが機械的に許可されるものではありません.ガチの稟議書です.
危ない大学の教職員のデスクには,稟議書や許可願をまとめてコピーしたものが入っています.
ガチの稟議書を回させることで,学会とか簡単な外出をしようとは思わなくなります.というか,それを狙っているわけです.
見せしめにランダムで稟議が止まったりします.

(5)連携しようとする
みんな一緒.やること一緒.職員室が一緒じゃなくても,同じ方向を向いて仕事してることには変わりがない.
そんな思想で大学教育をしている幹部教員や経営陣は,なにかっていうと各学科・各部署を「連携」させようとします.
なんのために学科や部署が分かれているのか,それは忘却の彼方です.
連携すれば,なんか強力な体制になる,フットワークが軽くなると言い出します.
この動きで特徴的なのは,お互い仲が良い,幹部・経営陣に都合がいい,もっと言うと,先日飲み屋で一緒になったという理由からです.もっと根源的には,殺伐とした職場において「寂しいから」という部分がなくはないわけでして.決して仕事が捗るからではありません.
表在する本音としては,自分だけでも楽できないか.自分の部署だけで責任をとりたくない.そんな思いの現れです.

(6)産学連携の意味が違う
じゃあ学外との連携はどうなのか.
普通の大学では,産学連携をすることで何か新しい製品や学術的知見を生み出そうとします.
ところが,危ない大学ではその連携の意味するところが違います.
離職率の高いブラッキィな大きめの企業が,大学からまとまった人数の卒業生がほしい.対する大学としても,卒業生の就職率アップにつながるところを確保しときたい.そんな思惑で連携という言い方をしています.大人の事情でこれ以上詳しくは言えません.

(7)大本営発表が捏造・歪曲される
うーん・・,ちょっとこれは実際に危ない大学にいるorいた人じゃないとイメージしてもらうのが難しいかと思うんですが,一応お話ししておきます.
基本的に,危ない大学というのは絶対的支配者層(以降,支配層)が存在します.それは理事長とか経営陣,幹部,そんなふうに言われる人・組織です.もはやそこには派閥闘争なんて幸せなものはありません.誰かを頂点(核)とした中華思想のようなものが出来上がっています.
そんなもんですから,危ない大学の教職員というのは,その支配層にどれだけ媚びるか,睨まれないか,攻撃対象にならないか,という観点で行動していくことになります.
大本営発表というのは,そういう支配層からの伝達事項のことなんですけど.支配層が直接全員に向けてメールとか書類で通達する場合なら良いのですが,これを各部署の長レベルを介した通達だと事が厄介になります.
各部署の長,彼らにしたって自分を守ろう,評価を上げようと必死です.
するとどうなるか.各部署の長が,自分にとって都合の良い通達として捻じ曲げて報告したり,支配層が言ってもいないことを紛れ込ませたりします.
これで一番割りを食うのは若手や立場の低い職員です.
あとで辻褄が合わなくなって大混乱.言った言わない,もともと何が目的なんだ.なんてことで神経を磨り減らします.
立場の低い教職員は支配層に謁見する機会がないのですから,真実もまた知りようがないのです.

危ない大学が増えていく中にあって,多くの大学とその教職員は学生のことを考えなくなります.学生を犠牲,踏み台にしてでも,自分が生き延びることで手一杯だからです.
しかも皮肉なことに,こういう危ない大学が増えることを望んだのは国民でした.
市場原理で大学間の競争をすれば,きっと学生のためになるという話でしたよね.
でも残念ながら,教育業界をビジネスライクに競争させると地獄になるんです.
もう取り返しがつかないところまできているので,あとは学術教育が荒廃していくのを眺めることにしています.


危ない大学を経験した(経験中の)先生方ともお話しをしていたら,やっぱり次から次へと事例が出てきます.
近いうちに第三弾をお届けする予定です.
※というわけで第三弾を書きました.
「教職員用」危ない大学とはこういうところだ 其の三

学生に向けた記事としては,
があります.

 
 

危ない大学に奉職してしまった場合の対処法を記事にしていますので,そちらもどうぞ.
危ない大学に奉職してしまったとき「スパイ対策法」
危ない大学に奉職してしまったとき「イベント企画対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「高校訪問対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「教員評価制度対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「新学部・学科名の候補を出せと言われたとき対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「授業評価アンケート対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「本気の高校訪問対策」

危ない大学でもなんでもいいから,まずは大学に奉職したいという人には,
大学教員になる方法
大学教員になる方法2
大学教員になる方法3
大学教員になる方法「強化版」


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