2014年4月9日水曜日

「教職員用」危ない大学とはこういうところだ

今日はSTAP細胞研究の筆頭著者の会見が行われており,ニュースは祭り状態になっております.
私も学者・科学者の端くれという立場から本件について折にふれて話すこともあるのですが,いかんせんこのニュースは「論じるべき素材がまだ揃っていない」状態ですので,ブログでは控えております.
大変な事態であることはたしかなんですが,ニュースサイトなんかのコメントを見てると,ちょっとラリってる人が多いんじゃないかと心配でなりません.

というわけで,ラリってるついでに以下の記事をお楽しみください.

危ない大学とか消える大学とか,あとは生き残る大学というのを扱う書籍を見かけますが,そうしたものを読んでみましても,やはり切実感と親近感を足して2で割った感情に欠けます.
ここで一つ,教職員の方々であれば可能な限り奉職したくない大学というのはどんな大学なのか?という点に絞って書いてみました.

外からではわからない,働いた時にわかる,内部ならではのことです.
高校生や編入生,保護者といった方々にとって有益なことですと,
こんなホームページの大学は危ない
こんな挙動の教員がいる大学は危ない
こんなパンフレットの大学は危ない
上記これらをご参照ください.

ちなみに,どんなに優良大学であろうと,その人間関係が悪かったり,一部の部署や教職員に業務のシワ寄せがいき,その人たちがブーブー言ってるなんてことはあり得ます.
ここで論じたいのは,そういうどのような人間集団や組織にもあり得る話ではなくて,「危ない大学ならでは」の職場環境や現象です.

危ない大学の方々であれば,「あぁそれ,あるある」ということで楽しんでもらえるかと思いますし,私自身,奉職する大学ではそうならないように努力していきたいという戒めを込めて綴るものでございます.

以下の項目をみて「そんなの,普通の民間企業なら当たり前のことだ.これまでぬるま湯に浸かっていた大学が,やっと普通の民間企業と同じようになったんだ.お前たちも苦しまなければいけないんだ」と言い出す人がいるかと思います.

そういう人は,「人類の尊い叡智を語り継ぐ者」としてはふさわしくありませんので,こうした学術教育の迷惑にならないよう,これ以上アカデミックな場に関わらないことを切に願います.

サッカー選手が「いいじゃないか今日の審判はファウルをとらないんだから.相手を殴ったり蹴って,潰しにいこうぜ.勝てばなんでもいいのさ.それで観客も喜んでるし」と言ってるに等しいわけですので.
それを聞いて,「いや,それって正論だろ.勝つためには汚いプレーも重要だよ.勝たなきゃ観客も入らないし」なんて言い出す人とは一緒にサッカーはしたくありません.

危ない大学,その多くの場合「経営難になった大学」は以下の様な特徴を持っています.

(1)理事長の都合や思いつきで教職員の首が飛ぶ
想像に難くないでしょうから,詳細は省きます.
大学や学園の私物化.それに尽きます.

(2)スパイがいる
理事長や学長,事務長,各種部長の命令を受けて,いろいろな委員会やミーティングに忍び込んでいます.見た目は普通の教員や職員です.決して「黒ずくめのサングラス」だったり,「タキシードに蝶ネクタイ」姿ではありません.
彼らはそこで会話されている教職員間のやり取りを,逐次,雇い主に報告します.
雇い主の人達は,それらの情報を元に圧力をかけたり解雇させる順番を決めていきます.
あと,このスパイですが教職員だけでなく,「学生」も潜り込まされることがあります.これは結構効果的で,「ねぇ先生,◯◯先生のこと嫌いじゃないですか?その仕事,面倒だと思ってませんか?」などと迫り,その対応を引き出すというものです.
私もかつて,そんな諜報活動をしていた「くノ一」と仲良くしていた時代があります.

(3)学内紀要のページ数に波がある
理事長の権限が強いものだから,「今年中に研究論文を書いていない奴は切る」という趣旨の発言があると,比較的投稿掲載しやすい学内紀要の分量が増えます.いつもは20ページ前後だったものが,ある年は200ページ超,著者多数.そんなの.
つまり,もともと学術性が低くて碌な研究が出来ない環境であり,理不尽な業務に追われて研究なんか出来ない状態なわけですから,格調高い雑誌には投稿できない教員が多いわけでして.
そんな中でも理事長に睨まれないよう「規定事実」を作る動きが活発化したことによる結果です.

(4)一言で言えば「バスの運営」がある
下っ端の事務職員がバスの管理運営や現場で走り回っています.バスの運営は非常にお金がかかりますから,財政的に苦しい大学であれば,できれば節約したいところ.バス会社がやるところをなるべく減らし,自前の職員でやろうとします.バスというアメニティによって学生を集めている危ない大学なわけです.
これを教員がやっている場合もありますし,バスの運転自体を教員がやっているところもあります.
そして大学教員を続けるための条件として,博士号ではなく大型免許をとらされます.自費で.

(5)プロパーじゃない仕事(授業)が3つ以上ある
バスの運転もその一つではありますが,授業などでも全然プロパーじゃない科目をたくさん持っていたりします.「3つ」っていうのは私の適当ですけど.そんな感じやないかと思います.
パソコンが得意だから情報の授業,スポーツが得意だからスポーツ実技,プロパーじゃなくたって教員だったら “学生のために” やるもんだ,などとけったいな理由をつけて,学内の常勤教員や職員に担当させます.
まがいなりにも高等教育をやってる自覚があるなら,常勤の教員にプロパーがいないなら,“学生のために” も非常勤を雇うのが筋ってもんですが,出来ない理由がそれぞれにあります.
なお,次の(6)のことが,その「プロパーじゃなくても常勤がやる」という理由の一つになります.資格やなんかの縛りで,常勤講師が担当しなきゃいけないことになってたりするんです.

(6)資格・免許の管理業務がハンパない
どうせ取ったって意味が無い.そんな資格・免許は山ほどあるわけですが,そんな資格・免許を山ほど卒業生に出す大学があります.
資格・免許を山ほど出す大学というのは,学生に無理やり資格・免許を出そうとしますから,モチベーションが低い学生にも取らせるようおだてます.
すると,資格関連科目を落としても自覚がない,なんとも思わない学生が結構な勢いで出ます.資格取得に必要な科目の単位がどれほど取れているか?落としている科目はないか?などの管理が非常に煩雑になるんです.
通常の大学でしたら,「そんなの学生の自己責任だよ」で済ますのですが,危ない大学では“強力なサポート体制”を売りにしますから,どうしても紐付け後追いを徹底したがるんですね.
でも実際のところ,豚をおだてても木には登れません.

さらに,その資格・免許を出している協会やら法人やらとのやり取りが面倒くさいことこの上ないわけです.
更新手続きがどうのとか,シラバスとの整合性を保つための書類作りとか.一見,それらの資格を出せる条件が大学にないように見えても,規定の隙間を突いて誤魔化す作戦をミーティングします.
まぁとにかく,取得したところで価値が低いにも関わらず,とりあえずパンフレットやホームページの見た目を良くしたい,学科やコースの特長を目で見て分かるようにしたいという理由で用意される資格・免許ですから,その管理作業の意気込みも下がるというものです.

(7)研究費が納得のいかない理由で消費される
ただでさえ少ない研究費が,学会出張の交通費や宿泊費として引き落とされるまでなら許しましょう.危ない大学では,学内行事での交通費や教材コピー費用など,そんなところで研究費が引き落とされていきます.
まぁ,ここは科研をとるしかない.

(8)オープンキャンパスを盛大に盛り上げる
そういうイベント中,教職員は一堂に会して結束を高めようとします.そこでは,開門前に「エイエイ・オー」の勝鬨があがります.
参加者に交通費を出す,っていうのが最近有名になりましたね.お土産を貰えるところもありますよ.
終わったら終ったで,担当者から,今回の参加者数は過去最大,◯◯大学よりも多かった,などとアナウンスがあると,一堂に会した教職員が拍手喝采で喜びを分ち合います.
センター試験なんかでも同様の状況が見られます.ミス無く終わったら手を取り合って喜びます.
通常の大学であれば,自分の勤務時間が終わったらそそくさと帰るだけです.

(9)学生募集を本気でやる
通常の大学であれば,広報は遊び半分でやります.
はっきり言って「民間企業ごっこ」です.皮肉なことに,その遊び半分でやる中から案外優れたアイデアが出たりするんです.
ところが,本気で学生募集をやるところは広報に割く会議やミーティングの時間が長時間にわたります.夜中までやります.
あと,「高校訪問」という営業活動もします.これは結構有名になってきました.
だんだんと高校教員や高校生・保護者の方々にも知られるようになってきましたが,「高校訪問が活発な大学には行かない方がいい」というのは間違いではありません
普通の大学でも最近は行くようになっています.でもそれって「他がやってるから」という,大学組織ならではの浅知恵から来ているものです.レベルが違います.
本気で学生募集をするために高校訪問をする大学は,高校訪問専用のパンフレットや資料を用意して,不慣れな教員のためにも台本が用意されます.それを入試や広報の教職員が血眼になって作ってます.
さらに凄いところになると,例えば9月上旬(高校は通常営業,大学は休講中)に教職員を大型バンで寝泊まりさせながら(ホテルを使うと高いので),重点地域の高校を数週間単位でシラミ潰しにまわります.
それくらいしないと高校訪問の「効果」はないのですよ.つられてやってる大学さんは考えなおしてください.

(10)なにかって言うと「音美体」「子ども」「福祉」に頼ろうとする
音楽,美術,スポーツ,子どもとの交流,高齢者への貢献,障害者の支援.
これは準備も少なく,予算がいらず,即効性があるからです.
学内外で何かイベントを企画しようとすると,なにかって言うとコレに飛びつきます.
んで,いつもは目の敵にしているはずの体育会系・運動部系のクラブに所属している学生をおだてて「学生が主体的に/積極的に取り組んでいる」という情景に仕立てます.彼ら/彼女らにしたらいい迷惑です.


まずはそんなところでしょうか.
第二弾を仕入れることができましたら,また書いておきたいと思います.
※で,第二弾を書きました.
「教職員用」危ない大学とはこういうところだ 其の二
第三弾も,
「教職員用」危ない大学とはこういうところだ 其の三

※後日,危ない大学に奉職してしまった場合の対処法を記事にしました.
危ない大学に奉職してしまったとき「スパイ対策法」
危ない大学に奉職してしまったとき「イベント企画対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「高校訪問対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「教員評価制度対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「新学部・学科名の候補を出せと言われたとき対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「授業評価アンケート対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「本気の高校訪問対策」

危ない大学でもなんでもいいから,まずは大学に奉職したいという人には,
大学教員になる方法
大学教員になる方法2
大学教員になる方法3
大学教員になる方法「強化版」
大学教員になる方法「感想版」
大学教員になる方法「感想版2」


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