2015年1月31日土曜日

危ない大学に奉職してしまったとき「厄介な教員対策」

前回ご紹介した和田慎市先生の著書の中にも関連する部分があるのですが,大学においても,この
「厄介な教員・周囲に害を及ぼす教員への対策」
というのは非常に重要になってきます.

これについて学校教育における対策は和田先生の『すばらしきかな、教師人生 先生が元気になる本』を読んでもらうと良いのですが,この記事では「大学における厄介な教員・周囲に害を与える教員との付き合い方」について,この本を参考にしながらご紹介してみようという企画です.

最近,無能な教員や気に入らない教員を切っている大学に在籍している先生とお話をする機会がありました.
「気に入らない教員を切る」とはなんぞや?というところかもしれません.
切られる教員とは,大学運営に積極的でなかったり,積極的であったとしても何かズレてたり,おまけに学生からの評判も偏っていたり授業評価も高くない教員のことです.
こうした「厄介な教員」を「この大学には不要だ」と切り捨てたり干したりする大学が徐々に増えてきているのだそうですが・・.
「無能な教員を切るのは良いことじゃないか」と言いたい人もいましょうが,たとえ周囲に害を与える教員であっても,簡単に切り捨ててしまう大学は危ない大学と見做してよいと思います.
厄介な教員であっても,ある程度は共存していくのが大学という場所です.だから今回の記事の趣旨も「厄介な教員との付き合い方」なのです.

ところが,危ない大学というのは経営や運営に余裕がありませんから,なんとかして教職員を一手に統率しようと目論むものです.そんな中にあっては,学内で評判が良くない教員は切り捨ててしまった方が何かと安全で効率的と考えるのです.

その一方で・・・,
悲しいことに,危ない大学に奉職している教員というのは「危ない大学エキス」を浴びることによって,周りの人間の足を引っ張ってでも生き残ろうとするようになるので,結果的に「周囲に害を及ぼす教員」へと変身することがあります.
もしくは,もともと周囲に害を及ぼす教員が,この危ない大学から滲み出している「危ない大学エキス」を吸いたいがために,カブトムシやアリのように寄って来やすいという現象が見られます(なんでかって言うと,自分に能が無くても周りの足を引っ張れば生き残れる大学でもあるからです).

というわけで,不幸なことに危ない大学には「危ない教員」,つまり,周囲に害を及ぼす厄介な教員も必然的に増えてきちゃうのです.
大学運営側が気に入らない教員を切り捨てれば切り捨てる程に,そして,教職員を強引に統率しようとすればするほどに,その思惑から外れて周囲に害を及ぼす教員は逆に増えてしまうわけでして.
内部の人は分かってくれるかと思いますが,危ない大学の特徴として,
なにかっていうと学部学科・部署の垣根を越えて一致団結しようとするクセに,教職員間の仲は非常に悪い
という事態になります.

そうは言っても,危ない大学に奉職していても「まっとうな大学教育」を目指している皆様のような先生方におかれましては,こうした周囲に害を及ぼす教員とどのように付き合うかが重要になってきます.

まずは周囲に害を及ぼす厄介な教員の特徴やパターンを掴んでおきましょう.それらを整理・把握できれば,その対処法も見えてくるというものです.
その対処ですが,一人ではなく集団で当該教員を集中攻撃するようにします.かわいそうなような気もしますが,危ない大学からの脱却にもつながると考えて頑張りましょう.

(1)無能なのに,やたらと競争心むき出しで周りにつっかかる
こういう教員は後輩であれば可愛らしい存在ですが,同年代や先輩であれば厄介な存在になります.
有能であれば良きライバル,良き目標になるのですけど,無能(学術的にも教育者的にも)なんだから目も当てられません.めちゃくちゃ面倒な奴です.
張り合ってきているわけですので,本人としては「自分は張り合えている」と思っています.そこをストレートに否定するわけにもいかないですし,現実問題,そこを指摘したり文句を言うことは非常に困難です.
どんなことで張り合っているかというと,危ない大学においては「学生からの人気度」「授業評価アンケート」「授業内での盛り上がり」「ゼミ生の就職率」「委員会活動での活躍」「大学ホームページへの掲載率」などなど.研究業績である場合は極めて稀です.
その対策は?:大学はそういう低次元な競争をするところではない.ということを伝える必要があります.
危ない大学の中にあっては難しいミッションになるでしょうが,その大学を危ない大学から脱却させるためにも,教員間で競争する空気を薄めるように工作することが重要です.「はいはい,よかったですね」と乾いた対応を皆でしていれば,そのうち競争することをバカらしいと思ってくれるでしょう.

(2)私は本学の中でもキレ者の教員だ,と思い込んでいる
そう思っているのは本人だけで,まったくの無能である場合が多いです.だからこそ厄介な教員なのですが.
まず,自分をキレ者だと吹聴するクセに学内業務や委員会活動をサボります.仕事をやらせたらやらせたでトラブルやミスを連発し,その仕事の質も低いです.なんですけど,どういうアクロバティックな頭脳をしているのか分かりませんが,「私のお陰で上手くいった」とか「実質,私が裏で取り仕切ったんだ」という結論になります.
たいてい,何か自慢できる特技を持っています.でも問題なのは,その自慢できる特技一つを武器に,大学教育の在り方とか教員としての価値なんかを論じようとするところにあります.多くの場合,ウケが良いとか社会で役立つという次元で論じようとする傾向が強いです.
「いやそれ全然学術的じゃないから.しかも考え方も間違ってるし」と突っ込みたいところですが,本人はいたって「学生のためになっている」とご満悦です.
その対策は?:特技を否定してはいけません.それがその人の大学教員である心の拠り所なので.この場合,その特技について学術的な議論をふってみましょう.これを皆で何度も続けていきますと,その特技自体に学術的な価値がないと気づいてくれれば黙るようになるので今よりマシになります.上手くいけばその先生が学術研究に開眼するかもしれません.
その上で,そんな教員には「仕事は割り振るけどやらせない」という戦術をとります.先生は忙しそうですのでとか,これは我々でやっときます,などと言って沈黙させることが重要です.
「そんなことしたら奴が楽するだけじゃないか」と思われるかもしれませんが,そんな奴が表立って動かれた方が面倒になります.そっちの方が楽できると思って我慢です.

(3)大学運営について独自の理論を持っている
独自の理論とのことですが,実のところ経済界からの要求のコピペであり,文科省が出している資料を人より詳しく把握しているだけのことだったりします.
つまり,大学教育としての理念や使命が希薄なチャラい理論なわけで,こういった教員の口からは玄人の胸を打つ言葉は出てきません.でも,至って本人は「これからの大学は,こんなふうに変わらなければならない」という美学に似た主張を持っています.
そういう中において厄介な教員というのは,周囲から公然と,そして理路整然と批判されているのに主張をやめません.ペラッペラに薄い理論と,「いや,そんなの誰でも知ってるよ.しかも周回遅れで間違ってるし」という内容であるケースが多いのですが,本人はトップランナーでいるつもりです.
悲しいのは,大学経営陣がそんな教員を「この人が言うことも取り入れないと,我々の大学は生き残れない」などと少しだけ持ち上げようとするところです.
褒められたと思って調子に乗り,さらに大風呂敷を広げて話を展開するも,元々の頭の悪さが露呈してきて失脚,という顛末になるのがこのタイプです.
その対策は?:対策を講じなくとも,こういう教員は大学経営陣からハブられている可能性が高く,そんでもって「私のことを評価しない運営組織は無能だ」などと文句を垂れながら,大学運営組織の足を引っ張る工作(意地悪)をして日々を過ごしているのがステレオタイプです.
ですが,失脚してなお意地悪の程度が大きかったり,五月蠅く声を上げているようでしたら周囲に害をもたらしますから対処の必要があります.
何をするかというと,その大学の経営陣や幹部に関する悪口やトラブルをこの教員に情報提供してあげることです.すると,「やっぱりここの大学経営陣は無能なんだ」と喜んでくれるでしょう.
たいてい,この手の教員は悪口・陰口が大好きです.それに,自分以外の者が活躍したり出世するのを嫌っているのであって,大学経営それ自体が上手くいくことを願っているのではありません.
気も静まったところに「そのうち先生の時代が来ますよ」とヨイショしておけば満足してくれます.ちょっとアホらしいかもしれませんが,アホを相手にしているんですから我慢しましょう.

(4)大学運営陣のスパイをやっている
大学内部のスパイについては,
危ない大学に奉職してしまったとき「スパイ対策法」
が詳しいので,そちらもどうぞ.
なぜ大学運営陣が教職員をスパイとして雇い(囲い),放つのか? それはもちろん効率的な大学経営をしていくためです.スパイから得た情報によって経営方針と合わない教員を見つけて潰さないといけませんので.
もちろん「スパイ」を買って出る人たちにも利があるわけでして.諜報活動をすることで,雇い主である大学経営陣に忠誠を示しているわけです.
こういう教員は一応「スパイ」なので,学内では非常に幅広く交流をとっており,誰とも仲良くするキャラクターとして確立しています.本人曰く,「私って色々なポジションの人とコミュニケーションがとれる,フットワークの軽いクールでスマートな人材なんだよねぇ」って思っています.
でもたいていの場合ダブルオーセブンのごとくモロバレしており,「アイツは理事長のスパイだ.気をつけろ」などと陰口を叩かれています.
その対策は?:対策らしい対策が打てないのがスパイ対策です.この手の教員は教育者以前に人間のクズですから,いかに関わらないようにするかが重要です.
なんとかして更正させようなどと思ってはいけません.それが報告されたらあなたの教員生命が終わります.
なにより,私のブログに書いているようなことをスパイと一緒のところで話さないことです.
スパイと話をするときは「学生第一の大学を目指しましょう」という点と「学生と経営陣は神様です」というところを重視して話します.ひたすら媚びへつらう弱者・小者を装うことが肝要です.


関連記事
こんな挙動の教員がいる大学は危ない
反・大学改革論4(喜んでる教員)


参考文献
学校現場における「厄介な教師対策」は,こちらが詳しいです↓



その他の危ない大学での対策シリーズ
危ない大学に奉職してしまったとき「スパイ対策法」
危ない大学に奉職してしまったとき「イベント企画対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「高校訪問対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「教員評価制度対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「新学部・学科名の候補を出せと言われたとき対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「授業評価アンケート対策」
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