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Fラン大学「学生がバカすぎて授業が成り立たない」とお困りの教員へ:バカなのはあなたです

こういうブログをやっているので,時々,大学教員の方から「授業」についてのメールを頂くことがあります.

あと,ブログとは関係なく,知り合いの先生方・後輩と面と向かってお会いしている際に相談されることもあります.


その中には,
「うちはFラン大学で学生の学習意欲が低く,学級崩壊状態になって授業が成り立たない」
という不満もあったりします.

実際にその授業の様子を見たことがない場合には,当たり障りのない(一般論としての)アドバイスしかできないのですが.

その中には「いやそれ,あなたが悪いから」っていうのもあるんです.


 
 

私の過去記事には,

「教員は学生を評価・判定することが仕事」
「大学は学生を【お客様扱い】してはいけない」
「学生による授業評価アンケートを真に受けてはいけない」
「授業内容の良し悪しは,その教員自身でしか評価できない」

といった主張があるものですから,そこから勘違いして,

「私の授業を学生が聞かないのは,学生に授業を聞く気がないからだ」

と考えてしまい,学級崩壊状態になることを学生側の問題だと解釈する人がいるようです.


違いますよ.
それは教員側の問題です.

私語,寝る,スマホや携帯電話をいじる,授業中に立ってうろつく,といった行為を「ダメだ」と考えているのであれば,それを抑制できないのは教員に指導力がないからです.


私が「教員は学生を評価・判定することが仕事」と言っているのは,きちんとした授業を展開し,提供しなければいけないものを提供し,考えるヒントを与えた上での話です.

それができていないのに,評価・判定するなんて乱暴ですし,理不尽です.

かなり以前に,学生の「私語」を止めるための手法を紹介したことがありました.
危ない大学に奉職してしまったとき「授業評価アンケート対策」
「静かにしろ!」と叱っても学生は私語をやめません.叱ってもダメなんです.
一番最初(第一週の開始時)が極めて肝心です.「初回だから・・」とか,「まだ気にならない程度の私語だから・・」と甘く見てはいけません.
私語だと気がついた時点で,“叱らずに”,黙って私語が収まるまで待ちます.例え小さな私語であったとしてもです.
私語をしている学生の方を向いて,10秒くらいなら黙っておきましょう.
どうしても収まらない場合,「おい.気づいてくれ」と落ち着いた口調で言います.
これを2〜3週ほど繰り返せば,大抵の私語はなくなっていきます.
多くの先生方はこの「黙って待つ」ことができないのです.10秒って意外に長いですからね.
私も当初は,わざとらしさと恥ずかしさ,それに手持ち無沙汰を感じていたのですが,そこを我慢してやります.
私語がダメな理由をその都度説明するとウザい先生ですし,威嚇するような態度をとる必要もありません.
私語がやんだら,抑えた笑顔で「ありがとう」と言えば,逆恨みされることも少ないです.
文章にしてしまえば簡単なことをやっているようですが,やっぱり細部と行間に指導テクニックが必要になります.

素直に私語をやめるクラスもあれば,いつまでも私語が消えないクラスもあります.
その対処方法に,教員ごとの微妙な違いが出てきます.
その教員のキャラクターや,学生たちの雰囲気によっても違いますので.




ただ,最も大事にしなければいけないことは,私語に限らず,あなたが「ダメだ」と決めていることを学生が続けるようであれば「不合格」にするデッドラインを敷くことです.
それを譲ってはいけません.

これを譲ってしまうこと自体,あなたに指導力が無いことを意味します.
でも,それを高圧的な態度で威嚇する必要はないですよ,ということです.


授業中にしてはいけない事は,一番最初の授業で明確に指示しておいてください.
昨今の大学では,シラバスに明記する必要があるかもしれません.
そのルールを守らなかった場合の最終判断は「不合格」,ということも明確に指示しておきます.

ここを毅然とした態度で貫けば,学級崩壊状態になることはありません.
かなりのヤンキー校で授業したことがある私が言うんだから,まあ,余程のクラスでない限りはこれでやっていけます.


「不合格」に相当するようなことかどうかも,授業開始前に覚悟をもって決めておいてください.
大学ですから,他の授業や先生と基準が違うことも伝えておきます.

私の場合,他の過去記事でも少し触れていますが,授業中の「携帯電話・スマホ利用」は認めていますし,寝るのもOK.
ただし,私語と授業中にうろつくことはNGにしています.


携帯電話・スマホ利用については,
超便利:授業内レポート(小レポート,リアクションペーパー)作成のコツ
に書いたように,むしろ推奨しています.
どうしても調べたいものがあれば,授業中であろうとスマホを使って調べればいいのです.
ゲームやSNSの目的で使う学生もいるでしょうが,周囲に迷惑がかからないならOKです.


寝るのも,周囲に迷惑がかからなければOK.
迷惑になっていたら叩き出します.
というか,寝るくらいなら出席するなと言っています.
出席数は考慮しないんだから.


なので,私の授業というのは,出席していなくても優秀な学生なら単位がとれます.
ただ,出席しないとテストとかレポートが書けないような展開にしています.
なお,写真やボイスレコーダー,ビデオを撮るのも自由です.

注意したいのは,学生たちが興味をもってのめり込むような「面白い授業」を展開すれば,厳しく処罰する方針は不要ではないか? という考え方です.


以前,
「面白い授業」に対する幻想と誤解
でも書いたことがあるのですが,「面白い授業」を展開すれば学生は伸びると思っている人がいます.
それを信じて突き詰めようと考えているのであれば,私はそれを否定しません.


ただ,私個人的には難しいと思います.
もちろん,私がエンターテイメント色の強いことが苦手だからなのかもしれません.
ですが,それよりも重要なことがあると考えているからです.
※詳細は上記リンク先をご覧ください.


「面白くて重要なことが伝わっている授業」が理想です.
しかし,
「面白くなくても重要なことが伝わっている授業」と,
「面白いけど授業なことが伝わっていない授業」では,
前者の方が大事です.


そして,誰もが「面白い」と感じる授業は現実的に不可能です.

だとすれば,伝えなければいけないことを担保した授業を優先すべきだと思うのです.

Fラン大学の学生は,たしかにバカに見えるかもしれません.
あなたの用意した授業を面白がるほどの,事前知識や興味を持っていない学生が多いのも事実でしょう.

ですが,であればこそ「伝えなければいけないことを伝える授業」を展開すべきです.



詳細な授業方法の解説
【その1】15週分の計画は予め具体的に決めておく
【その2】成績評価の判断材料を厳格に決めておき,それに対応した授業を展開する
【その3】私語を絶対にさせない環境にする


大学の授業についてはこちらをどうぞ
   


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