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教育のICT利用|この機会に「授業とは何か?」を考えておこう

嫌でもオンライン授業をやることになった日本の教育

今日も相変わらず月が綺麗ですね.
夜空を眺めることが楽しい日が続きます.



ところで,先日の記事にコメントを寄せてくれた大学教員の方がいます.
コロナで緊急事態宣言するってさ

詳しくはそっちの記事をご覧ください.


大学は当分のあいだ顔を合わせた授業はやらず,「オンライン授業」になるとのこと.

こういうことって,大学当局の姿勢が「世論追従」「文科省追従」タイプだと,何から何まで「はい,それ私たちが率先してやります」状態になるので,無理がかかってきます.

いきなり「やれ」と言われても,なんの準備もサポートもないままでスタートすることは非常に厳しい.


実は,何日か前に,いつもはフェイスタイムで連絡をとっている教員の大学もオンライン授業なるということで,「ZOOMの練習がしたい」という話になりました.

ZOOMというのは,オンラインミーティングができる代表的なアプリ・サイトです.
ZOOMミーティング(ZOOMホームページ)

これを使えば,オンライン授業をはじめ,本来の使い道であるオンライン会議が手軽にできます.

今回の新型コロナで利用者が増えたはず.
実際,ZOOMの利用方法やそのトラブルなどが話題に上がっています.

米上院、議員にビデオ会議アプリ「ズーム」の使用禁止を通達か(Yahoo!ニュース2020.4.9)


私は一足早く,ZOOMを使ったオンライン会議をやったことがあります.
かなり便利ですよ.
複数の人が同時に参加できて,チャットも画面共有もできるので,会議がしやすいです.


さて,このオンライン授業.
たしかに大変ではあるのですが,慣れてしまえば非常に便利で使い勝手がいいものです.

どんな授業目的なのか? にもよるものの,わざわざオフラインの対面方式で授業をする意味がどこまであるか,けっこう疑問であることも事実です.

この機会に,日本の教育界における「授業」の意義が問い直されるかもしれません.


この件については,昨年の夏頃にも話題にしたことがあります.
こんな記事を書いていました.
新・大学改革論|これからの時代に授業は不要
かつての大学は,学びの場と施設を用意するために,物理的な空間が必要でした.
今でも必要とする領域はあります.
ところが,特にここ最近は,そうした制限を必要としない場面が出てきました.
安価に出版物が出回り,インターネットが普及してデジタル情報として扱われるようになると,これまで大学が提供してきた学術活動が,「大学」という敷地や空間でなくても展開できるようになったのです.
(中略)
いちいち教員と対峙しなくても,動画やネット等のUIによるオリエンテーションで済ませられる「授業」というのは多いものです.
つまり,これからの大学は「オンライン授業」や「ビデオ授業」こそがメインになり,オフラインの授業は特別活動・ゼミ活動のような位置づけになるのではないか,そんな将来予想です.

少し前の記事である,
「大学が壊滅する2025年」が早まりそうですね
では,大学らしい大学が消えるのが2025年くらいだという当初の私の予想は,今回の新型コロナによる経済ショックにより早まりそうだな,っていうものでした.


それにプラスして,大学における授業方法や活動方法についても,当初の私の予想より早まるのかもしれません.

上記の新・大学改革論シリーズや,
大学関係者が知っておくべき,2025年頃に受験者数が激減する未来予想図
などでも,私は2030年頃が大学崩壊(および再構築)の時期だと考えていましたが,オンライン授業の便利さや有用性が大学人の間で共有されたり,ウイルス感染予防の声が来年まで尾を引きずるようだと,文部科学省のなかでも,
「対面方式の授業にこだわる理由がない」
などと言って,事態が急変するかもしれませんね.

オンライン授業の設備やインフラ整備への補助金も出たりすると,このムーブメントは一気に加速します.
何ふり構わず,流行と世論に合わせて猪突猛進するのが,現在の教育業界なので.

ただ,私は「大学」としての本来の機能を残すためには,この,オンライン授業やビデオ授業を中心とした,オフラインでのゼミ活動を主体とする教育スタイルへの転換が急務と考えています.
それだけに,付け焼き刃な方針や中途半端な計画では,逆に大学崩壊を本格化させてしまいます.

(今の政治家にはどうせ無理だろうけど)なるべく早めに「大学再構築」に手を付けないと,非効率な仕事に疲弊する大学教員が増え,精神を病んだり,学習性無力感を覚えたり,大学本来の意義を見失って迷走する期間が長くなってしまいます.
これは,日本国にとっても国民にとっても不幸なことです.


その詳細が知りたい人は,新・大学改革論シリーズを御覧ください.
新・大学改革論|必要性に迫られているわけではなく,たんなる気分転換
新・大学改革論|大学改革が好きな人たち
新・大学改革論|我田引水の改革案はやめよう
新・大学改革論|これからの時代に授業は不要
新・大学改革論|信頼性の高い学術コミュニティを用意する
新・大学改革論|なぜ大学改革は間違うのか?
新・大学改革論|地に足のついた,公平で合理的な,あまり嬉しくない改革


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