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これから大学教員を目指さない方がいい人のタイプ



このブログを見ている人は,多種多様です.記事が多種多様だからです.

一番閲覧数を稼いでいるのは,「エクセルでの統計処理」について.
次に,「学生向けのキャンパスライフ裏技集」です.

PCでこのブログを読んでいる方は,サイトの左側に「ここ最近人気の投稿(過去7日間)」というところがあるので,そこで確認できます.

で,3番目くらいに入ってくるのが「大学教員になる方法」のシリーズです.

こういう内容のウェブ情報はほとんど無いので,探している人にはヒットしやすいのでしょう.
かなり以前に書きはじめたものだし,今はもう興味関心が薄れてきたので書いてませんが,思いついたように以下のような記事をアップしてきました.
大学教員になる方法
大学教員になる方法「強化版」
大学教員になる方法「感想版」
大学教員になる方法「学生編」
大学教員になる準備

ところが,先日こんなニュースが現れました.前回の記事でも取り上げたやつです.
文系の博士課程「破滅の道。人材がドブに捨てられる」 ある女性研究者の自死(朝日新聞 2019.4.10)

前回の記事はこちら.
大学教員志望者なら気に留めておいた方がいいこと:ある女性研究者の自殺が象徴するもの

 
ライザップイングリッシュ


この女性研究者は大学教員になりたかったそうですが,その領域でも非常に優れた研究業績を得たにも関わらず,就職の見込み無く追い詰められての自殺だったようです.

この女性が亡くなられたのが2016年2月とのことなので,もしかすると私の記事も読んで大学教員になることを目指していたのかもしれません.

だとすると,この方の目には私の記事は「絶望的」に映ったのかもしれませんね.下手すりゃ自殺を後押ししたかも.


3年前に書いた最後の記事である「学生編」で少し触れていますが,大学院修了者や研究者が「大学教員」を目指していたのに途中で絶望し,「自殺」というパターンはよく耳にします.

これは警察の統計とかニュースとして明瞭に現れてきませんが,風の便りや業界の噂として流れているものです.
もしかすると,私が耳にした話の中の一つが,上記のニュースの女性研究者のことだったのかもしれません.こういう話は分かりやすく報道されませんので.


実はこの私も,知り合いの先生から「こいつ思い詰めて自殺するんじゃないか」と心配されていたそうです.

私の場合は「大学教員になれなくて」というのではなく(実際,大学教員だから),この大学教育界への不満に耐えきれず,三島由紀夫よろしく,霞が関の文部科学省で暴れてからの割腹自殺するんじゃないか,などと期待(笑)されていたようですね.


いやぁ,そんな事する性格じゃありませんよ.
むしろ,この絶望的な流れを笑いに変えるのが私流です.だからこんなフザけた記事も書いてるんだし.
こんなホームページの大学は危ない
昨今の大学用語辞典
細かすぎて伝わらない大学HPオモシロ「最近のニュース」選手権
危ない大学におけるバスの想ひ出
こんな挙動の教員がいる大学は危ない
危ない大学に奉職してしまったとき「高校訪問対策」

こんなような記事を書いている人が,思い詰めて自殺なんかしません.
引退するだけです.
大学教員やめます

これからの日本は,大学に限らず “元の取れない” 学術振興はしない方向です.
象徴的なニュースとしては,国際リニアコライダーの誘致問題がありますね.
ILCの日本への誘致は支持せず - 日本学術会議が表明(マイナビニュース 2018.12.19)


“元が取れない研究分野” の典型であった文系だけでなく,世界的な科学研究を推進できる可能性を秘めた事案にも及び腰です.

私は,知り合いから「自殺するんじゃないか」と思われるくらい,可能な限り日本の学術振興を充実させた方が良いと考えています.そうなっていない,むしろそこから遠のく日本の在り方を糾弾するブログ記事を配信しているくらいですから.

ですが,この国の方針として,できない・やらないのであれば,それはそれで受け入れます.
そして私も,それに応じた生活を選ぶだけです.

言い換えれば,それに応じた生活を選ぶ柔軟性が乏しい人には苦しい時代と言えます.

そんなわけで,前置きが長くなりましたが,この記事のタイトルを回収しましょう.

「日本の学術活動を振興しよう」とか,「(特に今30代以上の人が)私が学生だった頃の大学・大学院での研究を,教える立場として関わりたい」と思っている人は,これからの大学教員は目指さない方がいいです.


もちろん,ご自身がノーベル賞候補クラスの研究をしているとか,その領域の学会で有力的な地位にいる先生の教え子だというのであれば別かもしれません.

具体的には,あなたの目指している就職先が,東京大学や京都大学といったところの,しかも研究活動をメインにしている部署で,そこをピンポイントで狙える立場と能力がある人ということです.

逆に,いわゆる「90年代末まで存在した “大学の学術活動” 」を継承していこうと思って,漠然と「大学」への就職を目指しているのであれば,それに絶望すること間違いありません.

仮に就職できたとしても,かつての大学とは変わり果てた様子にガッカリする.だけじゃなく,限られたパイの奪い合いと,研究教育そっちのけで経営活動に注力する生活に苦しみます.
しかも,この流れは改善には向かっておらず,今後はさらに加速します.


学会とかイベントなどがあると,複数の大学の先生方と懇親会とか飲み会をする機会があります.
最近,そこで上がってくる話題として「学生募集」に関するものが増えてきたように思います.
「先生のところは,高校訪問していますか?」とか,「どういうアプローチをすると高校生の食いつきがいいですか?」といったもの.


かつてなら,「入試倍率」の話をすることはあっても,こういう具体的な学生募集の話は「大学教員として,はしたない話題」として避けられていたのですが,もうそんな事態ではないのでしょう.

私も5年くらい前に「高校訪問」のことをバカバカしく語っていましたが,もう既にバカバカしい話題ではないようです.
危ない大学に奉職してしまったとき「高校訪問対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「本気の高校訪問対策」

このままでは,日本の大学教育の崩壊は間違いありません.

ところがどうして,なんだかのんびりしているのが大学です.
そんな状況に苛立つ先生方も多いものです.

なぜそんな状況になってしまうのか?


それは,現時点で大学の運営方針を主動している人たちに(当たり前ですが)60歳前後の人が多いからです.

この世代の人たちは,自分たちが定年退職する頃までは「大学経営」は一応安泰です.
安泰でなくても,とりあえず存在しているという安心感がある.

民間の企業経営では,今年大きな過ちを犯すと,来年がヤバい.という事態になりますが,大学経営ではそれがありません.
ある程度余裕をもって計算できるんですよ.

それに,大学経営の場合は,その決定に関わった人を特定できません.
複数のなんだかよく分からない分野の教員たちが複雑に関わって,ぼんやりと決定される場合が多い.

さらに,どこか1つの大学だけでなく,多数の大学が連合・連携して状況を作り出すという特徴があります.

結果,その経営方針によって発生した事態に対する責任は誰もとらなくていいし,言い訳がどうにでもなるんですね.


こういう環境を喜んでいるのが,教育とか研究よりも「大学運営・経営」に興味関心がある教員です.

かつてなら,「授業がまともにできない」とか「研究能力が低い」と陰口を叩かれる存在だった教職員が,この大学の危機の時代にあっては “無責任” な立場から「これまでの大学運営の悪口」や,机上の空論でしかない「大学経営のノウハウ」などを説くことができるようになったからです.

20年くらい前から始まった「大学改革」の大号令は,それを強力に後押ししました.
詳しくは,過去記事である■反・大学改革論を読んでください.


今(2019年現在),あなたが60歳前後の人で,コネがあったり天下り先として大学に就職するというのであればオススメです.
年齢的にも目上の存在になれますから,日本での大学教員生活は,もうちょっと先まで気楽にやれると思います.

ですが,優良・難関大学とされる大学以外だと,そんな天下り教員であってもコキ使われる場合が高いので覚悟しておいてください.


私も以前,そんな天下りジジイの教員と仕事していましたが,いつも不満を口にしていました.
役所から来た人ということもあり,上下関係や身分にうるさく,
「私に高校訪問させるな」
とか
「これは私みたいな人間がやる仕事じゃない」
「呼ばれた時の条件と違う」
と会議でも主張する面倒な人でしたが,残念ながら,現在の大学教員の仕事には余裕がありません.
あなたはまだマシな方だと思ってもらいたい.


で,そういうシワ寄せは若手教員とか助手といったところに行きます.

良心的で,しかも “若い頃に苦労していた” という年輩教員も,昨今の若手教員・研究者の業務状況は厳しいと言います.
かつてなら,意地悪な上司や年輩教員の面倒を見るのがツラいとか,自分の研究ではない調査や出張に駆り出されたり,たくさんの実験の手伝いが大変だったという,今では羨ましい内容が「忙しさ」の原因だったようですが,現在は違います.

上述したものに追加して,研究や教育とは直接関係のない事務処理要員として採用されている側面が強いのです.


「昔の研究者だって,若い時期は大変だったんだ」と嘯く人がいますが,性質としても仕事量としても,ほぼ嘘.
今の方が明らかに厳しいとのことです.

だいたい,こういう若手教員を採用する際の理由が,
「最近,やらなきゃいけない事務作業が増えたから,代わりにそれをやってくれる人がいいよね」
というものだったりします.


とは言え,「研究」とか「教育」といった業界には特有の魅力があることも事実です.
だから,大学教員に限らず学校の教師も,これだけ「ブラック企業みたいだ」と言われても希望者が多いのです.
ですから,どうしても大学教員を目指したい人を止めることはしません(でも,自殺するほど固執しないでね).


ですが,現在の学校の教師が,「子供の教育と真正面から向き合いたい」という人には務まらず,「理不尽な誹謗中傷に耐えて,それでも人間同士の関わりを諦めない」ことができる人が必要なように,大学教員にも「目指せる人」と「目指さない方がいい人」がいます.


現在の大学教員は,
「自分の研究成果やスタイルを元にした学術教育をしたい」
という人は避けた方がいいです.
それが実現できない危険性がとても高く,できたとしても非常に小さいため,不満を溜めることになるからです.

それよりも,「大学経営に興味があって,領域をまたいで様々な性格の人と協力して事業企画したい」という人が,この状況下でも比較的ストレスを抱えずにやっていけると思います.

そういう人が,今の大学教員を楽しんでやっていますし,むしろ,本当にそういう能力がある人に大学教員をやってもらった方が,今のところ日本のためにもなります.
今は,その能力がないのにやろうとしている人が多いです.


私はそういうことをしたくないし,やらされても苦痛のほうが大きいからドロップアウトします.


 
ライザップイングリッシュ

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