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いよいよ退職しますが,実感は全然ないですね

大学教員をやめて,田舎に帰って余生を過ごします


今年の初めに宣言したように,私は今年で大学教員を辞めることにしました.
辞めたあとは,田舎での隠遁生活に移る予定です.

私が「もう辞めよう」と思った経緯については,この春に記事にしています.
大学教員をやめて,次どうするのか? その1


さて,大学の授業も残りわずかとなりました.
1月に入ってからも授業はあるのですけど,ほんの数回しかありません.
なんだかんだで感慨深いものがある,と思っていたのですが,意外と心動かされるものはありません.

「授業」のための準備や心構えにしても,このブログとかYouTubeでハウツーものを作るのと本質的には一緒です.
実際,大学で授業をやってるよりも,ネットで記事や動画を公開することによる影響のほうが何百倍も大きいわけで,そうした教育現場から「離れる」というところの実感はないのが正直なところ.

そんなわけで,今後もこのブログは続けていくつもりです.




大学を辞めるきっかけ


ところで,私がまだ20代のとき,定年退職を迎える大学教員の秘書・補佐的な仕事をしていたことがあります.
上述した記事で紹介しているように,この頃が最も「大学の仕事」として充実していたし,面白かったときと言えます.

その先生の場合は,40年以上の大学教員生活を辞めるという状況だったので,やっぱり寂しそうにしていたんです.

ただ,辞めたあともときどき大学に遊びに来るような人で,その後も何度かお会いしたのですけど,曰く,
「辞めても気分的には全然変わらない」
とおっしゃられます.

実は,私が大学の仕事を辞めることを決断したところに,多少なりともこの先生が影響しています.

その先生曰く,
「大学を辞めて違うことをするようになったけど,大学の教員をやっていた時と同じようなことを考えて生活しているし,何かが変わった感じはない」
とのことです.

たしかに大学教員をやっていた時は,多額の研究費をもらって実験設備・装置を使い,学術界の最先端を走る大掛かりな実験研究ができているという満足感はあったそうです.

でも,そうして得られた満足感は,大学教員をやっている間だけ感じる刹那的なもの.

「研究」,つまり自身の好奇心を満足させる活動は,研究費や実験設備がなくても,日々の生活の中で工夫して得られるものだと言われていました.

考えてみれば当たり前のことですが,「研究者の思考と行動」とは,大学や研究機関を離れても発動・機能するもの.
そうした組織や機関に所属しないと生かされないものではありませんし,結局のところ,本人が満足していればOKなはずです.


そもそもの話をすれば,こうした「学術的な思考をもって行動できる人」を育成した方が,人類にとって良い方向に進むのではないかと考えられて存在するのが「大学」です.

現在の大学の教育スタイルに対して,
「大学は研究者養成だけの場所じゃない! もっとビジネススキルを養成する場所にもなるべきだ」
などと批判されることがありますけど,これはトンチンカンな指摘です.


先日もユヴァル・ノア・ハラリ氏の新刊を紹介しながら記事にしましたが,これからの大学は,専門的スキルよりも汎用性のあるスキルの育成を重視すべきとされています.

なぜなら,仕事や労働におけるスキルは,今後さらに先鋭化される上に,その技能習得のテクノロジーも特化してくるため,これらを学校や大学で教えることは極めて非効率になってしまうのです.
そんな時代に必要なのは,専門的なスキルを扱う上での基礎的なバックボーンや,哲学的思考力だというわけです.

詳細は,以下の記事を読んでください.
『21 Lessons』を読む|これからの人類の教育について

それとは180度方向が異なる現在の日本の大学教育方針が,なんだか虚しく見えてきます.

というわけで,それが大学を辞めるきっかけの2つ目と言えます.


漫然と大学で仕事をしているよりも,もっと地に足をつけた生活を送りたいんです.
単純に,「つまらない仕事を続けるのが苦痛」というのが最大の理由ではありますけど.


その他,細々した「辞める」きっかけについては,以下の関連記事を御覧ください.

関連記事
これから大学教員を目指さない方がいい人のタイプ
大学教員をやめて,次どうするのか? その1
大学教員をやめて,次どうするのか? その2
大学関係者が知っておくべき,2025年頃に受験者数が激減する未来予想図
反・大学改革論
『21 Lessons』を読む|これからの人類の教育について

コメント

  1. ぜひ、どんなところでなにをおやりになるのか教えていただきたいです。

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    返信
    1. tetsu88様,コメントありがとうございます.
      実家に戻って農林業&スポーツ関係をしていきます.
      今年の夏(2019/8/17)の記事である,
      ■大学教員を辞めて田舎生活を始める【プロローグ】
      でも紹介しましたので,そちらも合わせて御覧ください.

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