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井戸端スポーツ会議 part 7「ジュニア世代の育成」
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大学の後期授業が始まりましたし,科学研究費補助金の申請書類を作成したりで忙しく,あんまりブログの方に頭が回っておりませんでした.
未だに回っていないのですけど,10月の記事をもう少し書いとかないとと思い,スポーツネタを一つ.
さっき,こんな記事を読みました.
■危機に瀕する日本の選手育成
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141021-00000007-goal-socc
将来のサッカーA代表候補である,ジュニア世代の日本代表がアジア大会やワールドカップ予選で敗退したということでして.
日本サッカーのジュニア世代の育成が危機に瀕しているのだそうです.
どれどれ,なにがどうなっているから危機に瀕しているのかなと思って読んでみますと,
なんだか,いきり立った内容の記事ですね.
一応,私もそれなりに競技スポーツの専門家ですので,それなりの立場から言わせてもらうと,ジュニアだけでなくA代表の能力にしたって,一昔前(私たちが子供の頃)と比べたら雲泥の差があるだろうことは明らかです.着実に日本代表はレベルアップしていると言って良いと思いますよ.
技術は良くても最近の子供は体力が落ちている? いえいえ.
残念ながらどこのデータなのかは言えないのですが,ユース代表選手の体力測定結果を見させてもらったところ,彼らは成人アスリート顔負けの体力レベルにあります.
これにもう少し付け加えれば,他のアジアの国もジュニア育成に力を入れているからじゃないですか? というところですかね.
以前は,周りが50点だった時に自分達が60点で優位性があった.
最近は自分達は70点なんだけど,周りが80点をとっている.
そんなところではないかと.
それでも,どうやら危機に瀕しているのだそうです.
私としましては,そこまで悲観的にならなくてもいいじゃないか.子供たちをもっとじっくり見守りましょうよ.死ぬわけじゃないし.というところです.
上手くなれば球際の強さやボールへの執着心も上がりますよ.勝利への意欲なんて,もとよりあるでしょ.
こう言っちゃ悪いですが,ジュニアを含めサッカー日本代表のレベルを買いかぶり過ぎです.
それよりも,アジア全体のサッカーのレベルが上がっているというのは喜ばしいことです.
私としましては(というか,これは業界では常識かも知れないが),アジアのレベルが低かったから,日本を始めとするアジア勢はワールドカップで活躍できないのだ.と考えています.
70点,80点で争っているのがアジアなら,他は100点,200点で争っているのですから.
ライバルと目される相手が韓国,北朝鮮とかイランとかだったんですよ今までは.そりゃ強くならんでしょ.
サッカー日本代表がこの20年ほどで急成長したのも,ヨーロッパや南米勢と親善試合をたくさんするようになったからです.
強い相手と実際に戦うことが,最も優れた練習になります.
(やや皮肉交じりに)日本サッカー協会風な言い方をすれば「経験」です.
最終的にはワールドカップでベスト4とか優勝を目指すっていうのであれば,そのライバルであるアジア勢がワールドクラスになってもらうことは非常に重要なことでしょう.
上記の記事を書いた記者,
サッカーを楽しみましょう,というならまだしも,日本代表選手を育成してワールドカップを目指そうというなら,ある程度画一化された強化方針に従った方が良いのです.
他の競技団体,他の国でもそうですけど,ジュニア世代からトップ代表までの一貫した指導システムや指針を作らなければ,全国の指導者や選手がどこを目指せばいいのか分からず,あっちゃこっちゃしてしまいます.
というか,あっちゃこっちゃしてた選手たちを寄せ集めた集団だったのが過去の日本代表です.
それじゃいかん,ということで一貫指導体制を作ってきたのです.
相対的な戦果が悪かったからと右往左往してはいけません.日本サッカーのレベルは着実に上がっています.
※とは言え,ドーンと構えといてほしいA代表監督の選定なんかが一貫性を欠いているんじゃないかと思わされることもあったりしますが,まぁ,そこらへんの細かい事情や思惑は分かりませんけど.
一貫指導体制が望まれる理由は,ジュニア世代の競技成績に右往左往せず,将来を見据えた育成事業ができる点にあります.
それだけにやっぱり,「こういうサッカーを日本は目指す」という指導理念・哲学が極めて重要になってきますが.
以前の記事,
■井戸端スポーツ会議 part 3「サッカー日本代表」
で紹介したエピソードを,もう一度ここでも書いておきます(以下,ほぼコピペ).
男子テニス界の王者として君臨していたロジャー・フェデラーが,ジュニア選手だった頃のエピソードです.
ジュニア時代,彼はたしかに強い選手ではありましたが,目立った戦績は残せないでいました.
大きな大会にエントリーすれば一回戦負けが当たり前だった頃,とある人(故人・日本テニス界の大御所)が,そんなフェデラーの試合を見て「彼は将来,きっと大物になる」と評します.
その後の大化けっぷりは言わずもがなですが,その人がフェデラー少年の何に注目していたかというと,彼がやろうとしていたプレースタイルです.
ショットの正確性やフットワークの悪さは発育発達途上のジュニア選手であれば仕方がないことですが,やろうとしていたプレースタイルは抜群に優れたものだったと言うのです.
おそらくですが,コーチが将来トップレベルで戦うことを前提としたテニスを彼に教えていたのではないかというのです.
※というか,一貫指導体制の中でやっているので当たり前だけど.
例えジュニア時代に負けが重なったとしても,トップレベルで戦う選手になった際に必要となってくる判断力や戦術を,ジュニア期のその身に叩き込んでおくことを優先した,ということです.
どうしても選手やコーチは,目の前の勝利を優先してしまいがちです.
それが全て悪いというわけではないですし,スポーツにおいてはその勝利を追うこと自体が重要であることに違いはないのですけど,より指導のクオリティを高めようというのであれば, やはり将来を見据えた選手の育成プランというものが大事になってきます.それが一貫指導体制の考え方です.
技術や体力というものは,練習を重ね,成長してくれば自ずと高まってきます.ですが,その場面でどのようなショットを打つべきか,どう動けば良いか,という判断力や戦術というのは,一朝一夕に身につくものではないのかもしれません.
となると,その時に満足な技術や体力がなかったとしても「やろうとする」というトレーニングが必要であることが考えられます.
それが例え,目の前の試合には勝てる可能性が低くなるものであったとしても,です.
(日本のジュニア選手は世界大会でよく活躍しますが,シニアでの活躍が振るわないのは,こうしたことが背景になるのかもしれません)
これはサッカーにも,他の競技におけるジュニア育成にも同じことが言えるのではないでしょうか.
テレビゲームにしたって,イージーモードばかりやっていても上手くはなりません. ハードモードで苦労しないと,スキルは上がらないのと一緒です.
これを,「せっかくのゲームなんだから,やっぱり勝たないと」ということで,イージーモードにして勝利する喜びばかり味わっていてもいけないのです.
将来,ハードモードでプレーしなければならないのであれば, 今イージーモードをやるにしても「縛りプレー」でやるべきなんです.例えそれでクリアできないことがあったとしても,です.
そうしないと,いつかくるハードモードに対応できないのですから.
それがスポーツの一貫指導体制ということです.
そこまでしてサッカーの勝利を目指すことにどこまでの意味がある?ジュニア世代で勝たせてあげることこそが重要では?
という意見があって然りでしょう.
ただ,そこの議論はやや複雑になってきますので別の形でお話したいと思います.
未だに回っていないのですけど,10月の記事をもう少し書いとかないとと思い,スポーツネタを一つ.
さっき,こんな記事を読みました.
■危機に瀕する日本の選手育成
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141021-00000007-goal-socc
将来のサッカーA代表候補である,ジュニア世代の日本代表がアジア大会やワールドカップ予選で敗退したということでして.
日本サッカーのジュニア世代の育成が危機に瀕しているのだそうです.
どれどれ,なにがどうなっているから危機に瀕しているのかなと思って読んでみますと,
>日本の若手は球際や寄せの激しさ、ボールへの執着心、勝利への強い意欲などで相手より見劣りしている部分があったと言わざるを得ない。(上記記事より)という点なのだそうです.
なんだか,いきり立った内容の記事ですね.
一応,私もそれなりに競技スポーツの専門家ですので,それなりの立場から言わせてもらうと,ジュニアだけでなくA代表の能力にしたって,一昔前(私たちが子供の頃)と比べたら雲泥の差があるだろうことは明らかです.着実に日本代表はレベルアップしていると言って良いと思いますよ.
技術は良くても最近の子供は体力が落ちている? いえいえ.
残念ながらどこのデータなのかは言えないのですが,ユース代表選手の体力測定結果を見させてもらったところ,彼らは成人アスリート顔負けの体力レベルにあります.
これにもう少し付け加えれば,他のアジアの国もジュニア育成に力を入れているからじゃないですか? というところですかね.
以前は,周りが50点だった時に自分達が60点で優位性があった.
最近は自分達は70点なんだけど,周りが80点をとっている.
そんなところではないかと.
それでも,どうやら危機に瀕しているのだそうです.
私としましては,そこまで悲観的にならなくてもいいじゃないか.子供たちをもっとじっくり見守りましょうよ.死ぬわけじゃないし.というところです.
上手くなれば球際の強さやボールへの執着心も上がりますよ.勝利への意欲なんて,もとよりあるでしょ.
こう言っちゃ悪いですが,ジュニアを含めサッカー日本代表のレベルを買いかぶり過ぎです.
それよりも,アジア全体のサッカーのレベルが上がっているというのは喜ばしいことです.
私としましては(というか,これは業界では常識かも知れないが),アジアのレベルが低かったから,日本を始めとするアジア勢はワールドカップで活躍できないのだ.と考えています.
70点,80点で争っているのがアジアなら,他は100点,200点で争っているのですから.
ライバルと目される相手が韓国,北朝鮮とかイランとかだったんですよ今までは.そりゃ強くならんでしょ.
サッカー日本代表がこの20年ほどで急成長したのも,ヨーロッパや南米勢と親善試合をたくさんするようになったからです.
強い相手と実際に戦うことが,最も優れた練習になります.
(やや皮肉交じりに)日本サッカー協会風な言い方をすれば「経験」です.
最終的にはワールドカップでベスト4とか優勝を目指すっていうのであれば,そのライバルであるアジア勢がワールドクラスになってもらうことは非常に重要なことでしょう.
上記の記事を書いた記者,
>日本サッカー協会が出している指導指針に準じたトレーニングや選手選考を進めることも大切ではあるが、選手の可能性はどこに隠されているか分からない。それを念頭に置き、画一化された視点を変えていってほしいものである。とも述べます.まぁ確かにそういう視点も無視してはいけないのですが,概ねこれには同意できません .
サッカーを楽しみましょう,というならまだしも,日本代表選手を育成してワールドカップを目指そうというなら,ある程度画一化された強化方針に従った方が良いのです.
他の競技団体,他の国でもそうですけど,ジュニア世代からトップ代表までの一貫した指導システムや指針を作らなければ,全国の指導者や選手がどこを目指せばいいのか分からず,あっちゃこっちゃしてしまいます.
というか,あっちゃこっちゃしてた選手たちを寄せ集めた集団だったのが過去の日本代表です.
それじゃいかん,ということで一貫指導体制を作ってきたのです.
相対的な戦果が悪かったからと右往左往してはいけません.日本サッカーのレベルは着実に上がっています.
※とは言え,ドーンと構えといてほしいA代表監督の選定なんかが一貫性を欠いているんじゃないかと思わされることもあったりしますが,まぁ,そこらへんの細かい事情や思惑は分かりませんけど.
一貫指導体制が望まれる理由は,ジュニア世代の競技成績に右往左往せず,将来を見据えた育成事業ができる点にあります.
それだけにやっぱり,「こういうサッカーを日本は目指す」という指導理念・哲学が極めて重要になってきますが.
以前の記事,
■井戸端スポーツ会議 part 3「サッカー日本代表」
で紹介したエピソードを,もう一度ここでも書いておきます(以下,ほぼコピペ).
男子テニス界の王者として君臨していたロジャー・フェデラーが,ジュニア選手だった頃のエピソードです.
ジュニア時代,彼はたしかに強い選手ではありましたが,目立った戦績は残せないでいました.
大きな大会にエントリーすれば一回戦負けが当たり前だった頃,とある人(故人・日本テニス界の大御所)が,そんなフェデラーの試合を見て「彼は将来,きっと大物になる」と評します.
その後の大化けっぷりは言わずもがなですが,その人がフェデラー少年の何に注目していたかというと,彼がやろうとしていたプレースタイルです.
ショットの正確性やフットワークの悪さは発育発達途上のジュニア選手であれば仕方がないことですが,やろうとしていたプレースタイルは抜群に優れたものだったと言うのです.
おそらくですが,コーチが将来トップレベルで戦うことを前提としたテニスを彼に教えていたのではないかというのです.
※というか,一貫指導体制の中でやっているので当たり前だけど.
例えジュニア時代に負けが重なったとしても,トップレベルで戦う選手になった際に必要となってくる判断力や戦術を,ジュニア期のその身に叩き込んでおくことを優先した,ということです.
どうしても選手やコーチは,目の前の勝利を優先してしまいがちです.
それが全て悪いというわけではないですし,スポーツにおいてはその勝利を追うこと自体が重要であることに違いはないのですけど,より指導のクオリティを高めようというのであれば, やはり将来を見据えた選手の育成プランというものが大事になってきます.それが一貫指導体制の考え方です.
技術や体力というものは,練習を重ね,成長してくれば自ずと高まってきます.ですが,その場面でどのようなショットを打つべきか,どう動けば良いか,という判断力や戦術というのは,一朝一夕に身につくものではないのかもしれません.
となると,その時に満足な技術や体力がなかったとしても「やろうとする」というトレーニングが必要であることが考えられます.
それが例え,目の前の試合には勝てる可能性が低くなるものであったとしても,です.
(日本のジュニア選手は世界大会でよく活躍しますが,シニアでの活躍が振るわないのは,こうしたことが背景になるのかもしれません)
これはサッカーにも,他の競技におけるジュニア育成にも同じことが言えるのではないでしょうか.
テレビゲームにしたって,イージーモードばかりやっていても上手くはなりません. ハードモードで苦労しないと,スキルは上がらないのと一緒です.
これを,「せっかくのゲームなんだから,やっぱり勝たないと」ということで,イージーモードにして勝利する喜びばかり味わっていてもいけないのです.
将来,ハードモードでプレーしなければならないのであれば, 今イージーモードをやるにしても「縛りプレー」でやるべきなんです.例えそれでクリアできないことがあったとしても,です.
そうしないと,いつかくるハードモードに対応できないのですから.
それがスポーツの一貫指導体制ということです.
そこまでしてサッカーの勝利を目指すことにどこまでの意味がある?ジュニア世代で勝たせてあげることこそが重要では?
という意見があって然りでしょう.
ただ,そこの議論はやや複雑になってきますので別の形でお話したいと思います.
井戸端スポーツ会議
■ 井戸端スポーツ会議 part 1「プロ野球16球団構想から」
■ 井戸端スポーツ会議 part 2「スポーツ庁の必要性」
■ 井戸端スポーツ会議 part 3「サッカー日本代表」
■ 井戸端スポーツ会議 part 4「自転車は車道を走らないほうが安全だろう」
■井戸端スポーツ会議 part 5「グローバリズムはスポーツ」
■井戸端スポーツ会議 part 6「スポーツとニーチェとドラゴンボール」
過去のスポーツ記事
■人間はスポーツする存在である
■「負けたのに『楽しかった』」はダメでしょうけど.けどね.
■簡易版・負けたのに楽しかったはダメでしょうけど.けどね
■浅田選手への森元首相の発言
■いい人達なんだそうです
■スポーツによって災害に強靭な町をつくれる
■スポーツで土建国家を復活できる
■スポーツは健康になるためのツールではない
■しかしもし,偶然というものが一切否定されたとしたらどうだろう
■エクササイズからスポーツへ
■コンクリートからスポーツへ
■ 井戸端スポーツ会議 part 2「スポーツ庁の必要性」
■ 井戸端スポーツ会議 part 3「サッカー日本代表」
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