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大学改革の宿悪|大学入試改革となって溢れ出しました

「マジでヤバい反大学改革論」を書くべき時かな


私がこのブログで「反大学改革論」を書いたのも7年前.
懐かしく思います.

反・大学改革論
反・大学改革論2(学生からの評価アンケート)
反・大学改革論3(学生はお客様じゃない)
反・大学改革論4(喜んでる教員)

当時そんな記事を書いていたら,私の畏友でもある先輩教員から,
「こんなことヤバいこと書いてたら,どっかから訴えられるよ」
と言われました.

でもその先輩は,

こんなホームページの大学は危ない

とか,

危ない大学におけるバスの想ひ出

みたいな,面白記事も一緒に企画してくれていたオチャメな方です.


どうせ崩壊していく大学業界.
面白可笑しく論じていないとやってられません.


さて,そんな大学改革も来るところまで来たなと思わされるのが,
「大学入試改革」
です.

事の経緯は文部科学省のページにありますが,
大学入学者選抜改革について(文部科学省)
いよいよ「センター試験」が今年で終了して,次回(令和3年)から新しい方式になる予定.

その新方式の試験がドラバタ続きで危険視されています.

例えば,
地元でできぬ受験 英語民間試験、離島の生徒に重い負担(朝日新聞2019年8月10日10)
2020年度から始まる大学入試改革で、離島やへき地に住む高校生は特に大きな影響を受ける。大学入学共通テストで活用される英語の民間試験を、地元で受験することが難しいためだ。文部科学省は「不利益の解消を目指す」としているが、現状では効果が乏しく、不安の声が上がっている。

というニュースが出ているし,ちょっと前に話題となったのが,

センター試験の「後釜」に不安が募りすぎる理由|「新テスト」に記述式を導入する意味は何だ?(東洋経済オンライン2019.4.23)
2019年4月4日、大学入試改革に取り組む大学入試センターは、「センター試験」の後継制度として2020年度から始まる「大学入学共通テスト」の2回目のプレテスト(本番を見据えて実験的に行うテスト)の結果を発表した。
特に「国語」「数学」の記述問題に関する課題は山積みで、教育現場からは不安の声も多い。それに対し、改革を推進しなければいけない立場の関係者からは、苦し紛れの”珍発言”が相次いだ。
”山積みの課題”とは、「記述式問題の正答率の低さをどう改善するか」「記述式問題の採点精度をいかに高めるか」「記述式問題の自己採点と実際の点数の不一致をどう解消するか」などである。
4月5日の朝日新聞には、中央教育審議会長として高大接続改革の議論を主導した安西祐一郎氏が「正答率が低いのであれば、それは問題が不適切だからではなく教育改革が進んでいないからだ」「受験生のほとんどが0点であっても問題を変えず、解けるようになるよう、授業を変えることを目指すべきだと思う」などと強弁し、学習者おきざりの制度改革観を露呈した。

「山積みの課題」っていうか,これらはほぼ間違いなく「絶対に失敗する状況」が判明したと言えます.

もちろん,失敗したとしても「失敗」ということにはしないでしょう.

これは,日本政府が「アベノミクス」で景気回復とデフレ脱却・インフレ誘導を謳っていたのに,それが実現できていなくてもあれこれ理由をつけて失敗を認めないのと同じです.


さて,そんな状況の大学入試改革ですが,もともとは「大学改革」の延長線にあるものです.

「改革」と銘打てば何をやっても許される時代.
じゃあそれは誰のための改革なのかと言うと,たいていの場合は「国民」ではなく,改革したい人の利益だったりします.

そんな中,こんな疑惑が浮上しています.
大学入試改革の旗振り役 慶應元塾長に利益相反疑惑を直撃(NEWSポストセブン 2019.1.22)
詳しくはここに書きませんが,以下の私の記事を読んで興味があればリンク先を御覧ください.


もともと,私が7年前から「反大学改革論」やその他の記事で指摘していた,
「大学改革によって利益を得る人」
が,いよいよ隠しきれない状態になってきたとも言えます.

例の先輩教員の人が,
「こんなこと書いてたら,どっかから訴えられるよ」
と言っていたのは,それをダイレクトに書いたら,私だけじゃなくその先輩もヤバいことになる可能性があるので,なんだかんだで控えていたんです.

でも,「大学改革」と称する特定人物・団体の利益誘導の仕組みが,最近になってバンバン表に出るようになってきました.
なので,この情勢に乗じて思い切って書いてみたいと思います.






(1)自民党の政治家がヤバい


よく,
「大学教員には左翼や反自民が多い」
などと揶揄されますよね.
それは半分正解ですが,もう半分は,事情を知らない「自称・情報通」の勘違いです.

特に,昭和の終わりから平成にかけて(バブル崩壊からデフレ不況にかけて),自民党は教育を回復不可能なまでに破壊し尽くしました.
一般的には,「日教組」や「左翼学者」がその槍玉に挙げられることが多いですが,それは昭和までのこと.

平成から現在にかけては,自民党が教育と科学技術振興の芽を潰してきたのです.
民主党政権がやった悪行は,自民党の尻尾のようなものでしかありません.

自民党の悪行を知っている大学教員ですから,必然的に反自民になります.
結果,右翼と左翼の違いがよく分かっていないバカ(一般大衆)は,「大学教員には左翼が多い」と評したわけですよ.

事実,ウヨクの人たちは極左勢力である現政権を積極的に支持しています.
微笑ましいですね.


2年前の2月に,
こんな大学は万事休すだ
っていうバカバカしい記事を書きました.

そこでは,どんな大学がヤバいかっていうことの一つに,
「自民党の息がかかっている」
とだけ書いて,あとの詳細は伏せたんですけど.

その直後に「森友・加計学園問題」が話題になりましたね.
あれには笑いました.

自民党の大学改革(および教育改革)を推進している人たちは,もうちょっと隠蔽工作が上手だと思っていたのに,結構な勢いでニュースになったからです.

少子化によるマーケット縮小のなかにあって,大学改革は一部の人々の我田引水にしか働かない.
それは,人間社会がどのようなものか知っていれば予想できるはずのことです.

別にこれは「自民党だけ」の話ではありません.
でも,文部科学省に強いパイプを持っているのは自民党の政治家が多いし,そこからの天下り誘導できるのは自民党員が有力です.

そもそも,大学の経営を自民党の政治家がやってたりする.

まあ,これは一般ピープルでも予想ができる序の口.



(2)ベネッセ(教育関係企業)がヤバい


あぁ,ついに言っちゃった.

でも,最近は週刊誌ネタではあるけど,けっこう取り上げられているのでいいでしょう.

私としては,2014年の記事である,
危ない大学に奉職してしまったとき「新学部・学科名の候補を出せと言われたとき対策」
で,それをちょっと匂わせていました.

危ない大学では,奇妙奇天烈な名称の学部学科名があることを,面白可笑しく論じた記事でした.
その記事のなかで,こんなのを書いていたので引用します.
「その業界へ一直線学科」です.似たようなのは既に高校ではありますし,例えば「◯◯大学コース・科」という名称のものまであります.
それの大学版といったところです.
■営業学科
■教育企業学科
■地域企業学科
そうこうするうち,きっとこれ,
■パ◯ナ学科
「んなピンポイントな企業名を入れるなんて,あり得ない」とか思われるでしょうが,でも,既にこれと似たような学科・コースが実在する短大を,あなたは知っていますか?
そこはたしかベネっ..(うわっ!なんだ貴様っ,何をする!離せぇっ・・・)

これについてはさすがに言明できないと思っていましたが,5年も経てば表に出てくるものです.

上記の「その業界へ一直線学科」と呼んでいるのは,「ブラック企業(部署)」が多い教育企業としては,離職率の高い部署の兵隊集めとして「ブラック大学」の学生を利用しているという話.
大学としても,「◯◯に就職できるぞ」と謳うことで,学生募集と就職率アップを企てることができるので一石二鳥なんです.

大学と企業がつるんでいるんですから,もちろん大学関係者と企業もつるんでいます.
大学改革の推進者と企業がつるんでいるのは当然でしょう.


っていうか,その2014年から大学入試改革に「民間企業を活用する」という話が出てきていました.
当時から,どうせそんなこったろうと思っていたのですが,やっぱりそうだった(証拠はないけど,限りなく黒に近いクロ).

大学入試改革の旗振り役 慶應元塾長に利益相反疑惑を直撃(NEWSポストセブン 2019.1.22)

の記事でもそれが取り上げられています.


マーケットが縮小していく教育業界としては,子供や保護者の不安を煽ったり,彼らの行動を誘導することが重要な作戦になります.
大学の「入試改革」であれば,ほぼ全員がその「行動」をとらされることになるのですから,影響は非常に大きいものとなります.

結果,子供も保護者も学校も,みんな教育企業に頼って受験することになる.
という寸法です.

「今回の大学入試改革は誰も得しない!」
っていうの,あれウソですよ.
教育企業と,そこに関わる改革推進者は得しています.





(3)次のターゲットは外国人留学生になるよ


最近の大学改革は「入試」について利益誘導しましたが,では次の時代は何をするのかが気になりますよね.
予想としては,次は「外国人留学生の受け入れ簡易化」です.

もう既に絶賛推進中と思っている人もいるでしょう.
たしかにそうです.

けど,一般の方々はそこまで危機感を感じてはいません.
そこに危機感を抱いているのは少数派です.

少し前にこんなニュースがありました.

留学生1600人不明 東京福祉大に受け入れ停止指導(日本経済新聞 2019.6.11)
同様の問題の再発を防ぐため、留学生の在籍管理が不適切な大学には留学生の受け入れを認めない新制度を導入することも発表した。
新制度では、各大学が毎月、所在不明や退学、除籍になった留学生数を文科省に報告する。指導後も改善しない場合、文科省は「在籍管理非適正大学」として法務省に通告する。法務省は改善するまでの間、新規に入る学生への留学の在留資格の付与を停止する。

「再発防止のための新制度を導入する」っていうから安心している人もいるでしょう.
でも,それはウソだと思います.

この問題が発覚した時,我々大学教員が連想したのは,
「ということは,今後はこういう留学生を合法的に受け入れできる制度を用意するんだな」
です.

現在の状態だと「不法」になっちゃうから,その状態を「不法にならないように緩くすることが対策になる」と考えるのが現在の政府です.

福島第一原発事故が起きた時,放射線量の安全基準がどんどん下がったでしょ?
あれと一緒.

現在の基準だと「違法」になるなら,その基準を下げようとするのが日本人です.


現状では,「留学目的であれば日本に滞在できる」になっています.
でも今後は,「日本に滞在するなら留学できる」になるはずです.

おいおい,それはさすがに無いだろ.
って思うんじゃん?


絶対そうなるから.
来年くらいになったらそんな話が出てくるから.
オリンピックの盛り上がりにかこつけて,日本万歳の勢いでやっちゃうから.

行方不明になっている外国人留学生の多くは,日本滞在が目的だからです.
日本で生活がしたい,日本で仕事がしたいから「留学を理由に滞在」しているのです.

だったら,そっちの理由を先に回してしまえばいい,って考えるわけ.
つまり,
「日本でしっかり働いて生活基盤がちゃんとしている人なら,大学への入学を優遇してあげるよ」
っていう法律や条例を作るはず.
っていうか,どっかがきっと企んでるはず.


実際,既に日本国内には「不法滞在外国人」がたくさんいる状態になりました.
そして,その予備軍もたくさんいるのが現状.

ということは,これをなんとかしなければいけない.
という社会不安除去の力学(理屈)が成り立ちます.

この社会不安を利用すれば,
「滞在目的の留学生を受け入れるくらいなら,まじめに滞在している外国人を大学に入学させ,日本社会に貢献させたほうがいい」
という主張が通りやすくなるんです.

少なくとも,私が外国人移民を推進する政治家や役人ならそういう作戦を使います.

これにより,経済界からの外国人労働力確保の要望と,教育界からの学生募集の要望が両立できるのです.


まあ,そうならなければ幸いなのですが,望み薄ですね.



正しい政治家を選べば改善できると思っている人は,
選挙に行かない理由を探している人は、こちらを参考にしてください
民主主義のためには「選挙に行ってはいけない」|「若者よ、選挙に行くな!」は正しい
なぜ「投票しなかった人は政治に口を出してはいけない」と言われるのか?
を読んで正しく絶望してください.


絶望的になった人は,私の過去記事でも読んで笑ってください.
こんなホームページの大学は危ない
危ない大学におけるバスの想ひ出
こんな挙動の教員がいる大学は危ない
こんなパンフレットの大学は危ない
「教職員用」危ない大学とはこういうところだ
「教職員用」危ない大学とはこういうところだ 其の二
「教職員用」危ない大学とはこういうところだ 其の三
2019年版:本当に危ない大学とはこういうところだ part 1
2019年版:本当に危ない大学とはこういうところだ part 2
過去記事の「大学が危ない」はどこまで実現しちゃったか
昨今の大学用語辞典


実際に危ない大学に就職している場合
危ない大学に奉職してしまったとき「スパイ対策法」
危ない大学に奉職してしまったとき「イベント企画対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「高校訪問対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「教員評価制度対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「授業評価アンケート対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「本気の高校訪問対策」

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